2021年第4四半期、GDP成長率は5.22%増 製造加工業がけん引

ベトナムの国内総生産(GDP)は、2021年第3四半期に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う厳しい経済状況が影響して6%減となったが、第4四半期には5.22%のプラス成長に転じた。ベトナム統計総局が先月末、発表した。同局は、政府が新型コロナ制御に焦点を当てるなかでのこの回復について、前向きに評価している。

昨年第4四半期のGDP成長率5.22%増は、2020年第4四半期の4.61%は上回ったものの、2011~2019の第4四半期の平均成長率は下回る結果となった。

具体的にみると、2021年通年のGDP成長率は前年比2.58%増だった。第1四半期は4.72%増、第2四半期は6.73%増加で、新型コロナの感染が急拡大した影響で第3四半期に成長率が6.02%減少に転じた後、第4四半期に5.22%増に回復した。部門別にみると、農業・林業・漁業部門は2.9%増(国の経済成長全体の13.97%に相当)、製造・建設部門は4.05%増(同63.80%)、サービス部門は1.22%増(同22.23%)だった。

統計局のレ・チュン・ヒュー国家会計部長は、「ベトナム経済は昨年、新型コロナの感染拡大とその余波を経験し、特に4月末からの第4派の大流行のため、多くの企業が困難に遭遇した結果、第3四半期のGDPが下落した」と分析した。その後、政府が速やかに生産や取引活動を安定させる解決策を採ったために、第4四半期は経済が回復。2020年のGDP通年成長率2.91%増は下回る予想だが、2021年通年のGDP成長率2.58%増は、「新型コロナの厳しい状況下にあったことを考えれば、ベトナム経済は善戦したと考えられる」と前向きにとらえた。

◇目覚ましい農業分野の成長
統計局の農林水産統計部のズオン・マイン・フン部長は、新型コロナの影響があったにもかかわらず、農業部門が安定した発展を経験したと評価した。農業部門のGDP成長率(2.9%)は、初めて全産業を平均したGDP成長率(2.58%増)を上回った。自国の食料確保のために農産物輸出を制限しなければならなくなる国が多いなか、ベトナムの農業部門は順調に成長しており、多くの農産物の輸出が成長目標を達成し、期待を上回る伸びを実現できた。

加工製造業についてみると、この分野は引き続き、ベトナムの経済成長の原動力となっていることが見て取れ、2021年は6.37%の成長をとげた。統計総局の工業生産・建設統計部のフィー・ティ・フオン・ガー副部長は、「新型コロナの影響で操業が制限されたりしたものの、感染対策に関する政府決議に従って、産業界が一丸となって柔軟に、迅速に対応したおかげで、成長を維持できた」と話す。

一方で、サービス業へのコロナの打撃はもっと深刻だ。業界の昨年の成長率は1.22%増と低迷した。卸売・小売部門は2020年比0.21%減、運輸・倉庫業も同5.02%減少したが、統計総局貿易サービス統計部のグエン・ベト・フォン部長によると、今年のサービス業の経済見通しは「改善を示している」という。

ベトナム国会は11月、経済発展目標などを定めた「2022年社会・経済発展計画」を採択したが、この中で2022年のGDP成長率目標を6~6.5%、消費者物価指数(CPI)上昇率の目標を約4%とした。

世界的な原材料価格の高騰や不透明な新型コロナの進展など、さまざまな要因によって、2022年のベトナム経済も、数多くの困難に直面すると予想される。統計総局では、今年の目標が達成されるためには、今後、企業が必要な操業資金を得られるよう、政府と関連当局が金融機関などに働きかけるとともに、企業が安定生産を実現し、発展させるためのさまざまな支援や優遇措置が必要であると指摘している。