食の祭典「フレーバーズ・ベトナム2022」開幕 コロナ禍の飲食店を支援へ

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で困難を余儀なくされている飲食店を活性化しようと、ベトナムのデジタルメディア運営、ベトセトラが今月11日、食の活性化イベント、「フレーバーズ・ベトナム2022」を開幕させた。クレジットカード大手、マスターカードとの共催により、今回はすべてのイベントでキャッシュレス決済が可能となった。

「フレーバーズ・ベトナム2022」は今年で3回目の開催。ハノイ市とホーチミン市を中心に4月まで、4カ月間にわたって展開されるベトナム最大級の食の祭典で、最高の料理体験の提供や食文化の活性化、飲食店の支援などがねらい。食品や飲料などに関する会議やセミナーなどのほか、若手料理人らが腕を競うイベント「ライジングシェフ・チャレンジ」、優れた飲食店を表彰する「ベトナム・レストラン&バー・アワード」の授賞式など、食に関するさまざまな事業の展開で飲食店業界を支援し、新型コロナウイルスの感染の影響下からの回復を促す。

今年のフェスティバルには、500社以上の企業と5000人以上のグルメ愛好家らが参加する予定。コロナ禍にあってもできるだけ多くの人々がプログラムに参加できるよう、デジタルコンテンツも準備されており、オンラインでの参加者を含めると参加者は1500万人規模になる予定だという。

コロナ禍での開催であることから、キャッシュレス決済の導入に注目する飲食店は多い。カードなどでの決済で支払い時間が短縮され、客と従業員の接触が最小限にでき、迅速で安全な決済が行えることを飲食店にアピールしていく。消費者側へ電子決済普及を促すねらいもあり、期間中は、マスターカードの保有者は、イベント参加飲食店での代金が15%割引される特典がある。

1月11日に行われたパネルディスカッションでは、コロナ後の飲食業界のあり方や、フレーバー・ベトナムの開催意義などについて、意見交換が行われた=写真㊤。
新型コロナの感染拡大がもたらした困難にもかかわらず、ベトナムの飲食業界は消費者ニーズを満たすために、急速に革新を推し進めてきた。フレーバー・ベトナム2022でベトナムの飲食業界を応援し、スポットライトを当てることで、コロナ収束後、観光が正常に戻ったときに、より迅速に経済が回復できるとの期待が込められている。

さらに、コロナの感染が終息すれば、人間同士のつながりがこれまで以上に重要になるなど、食の文化的社会的役割の重要性も指摘された。今回のイベントは、食に対する情熱で人々を結びつけ、有意義な瞬間を提供する手助けをするねらいもあり、ベトナムでトップクラスのバーテンダーにオーダーメードのカクテルを作ってもらう機会や、人気店「アンアン・サイゴン」で調理の様子を見ながら楽しむ豪華な食事、ベトナム縦断鉄道の車内で五つ星グルメを楽しむ旅など、思い出に残るユニークな飲食の体験を、消費者に提案していく。

ベトセトラのハオ・チャン最高経営責任者(CEO)は、マスターカード社と新たにパートナー契約したことで、電子決済の導入面のメリットだけではなく、「飲食業界と消費者の基盤をさらに強固にできる」と期待。長期的な目標としては、ベトナムを飲食の世界的な拠点として整備しつつ、世界最先端の食料や飲料を提供することで、マスターカード社が公式スポンサーとなっているUEFAチャンピオンズリーグやカンヌ国際映画祭などのような国際的な大イベントに育て上げ、地域経済の活性化に寄与したいという。

一方のマスターカードはこれまでも、世界各地で食のイベントを企画。世界的に著名なシェフらと提携し、ニューヨークのタイムズスクエアや自然史博物館、リオデジャネイロのキリスト像前、ミラノのドゥオーモを見下ろす丘の上などミラノのドゥオーモを見下ろすパラッツォ・ベルトラミの丘の上など、世界中のランドマークで料理イベントを展開するなどしてきた。

ベトナムやカンボジア、ラオスでマスターカード社のマネジャーを務めるウィニー・ウォン氏は、「家族とともに家庭料理を楽しんだり、お気に入りの飲食店で人生の節目を祝ったりと、食事は人々のもっとも重要な経験と結びついている。フレーバー・ベトナムという食の祭典を通じて、人々が集う、貴重な体験を創出したい」と話した。