ファッション業界を〝グリーン〟に コーヒーやハスを原料に素材開発、ファスリンク社

環境に優しい素材の活用のほか、製造手法に至るまで環境に配慮し、ファッション業界の〝グリーン化〟を目指すアパレル会社、ファスリンク(Faslink、ホーチミン市)がこのほど、「グリーン・パス(緑の道)」と題したイベントを開催し、注目を集めた。持続可能な開発を前提としたファッションの創出で、ベトナムのアパレル業界全体を環境配慮型に転換させたいという。

環境への配慮や自然環境保護に向けられる消費者意識の高まりに伴い、ベトナムの衣料品業界でも環境配慮型の製造を目指す「グリーン・トランスフォーメーション」が進んでいる。アパレル関連の原材料供給網やメーカーは、世界的にも、またベトナムでも、自然への配慮やリサイクル素材の活用が当然となっている。ファッションブランドはさまざまな手法を活用して、環境に優しく、安全な「グリーン素材」の使用を進めているし、繊維精製技術の飛躍によっても、着用者の健康や快適さを追求しつつ、製造の際もより扱いやすいグリーン素材などが開発されている。

ファスリンク社は、この業界のトレンドをいち早くつかみ、2008年以降、グリーン素材を積極的に供給、活用している会社だ。原材料こそが「グリーンファッション」実現の基盤であることを理解し、14年間にわたって持続可能なファッションを追求してきた。品質や美しさ、実用性に優れた材料や製品を提供するため、常に材料の種類や製品の形態、縫製技術を研究し、向上させてきたと胸をはる。

同社の総面積1万平方メートルに及ぶファスリンク社の工場では、300台以上の近代機器などを備え、その研究開発部門は世界の多くの有名な技術原料研究施設と協力している。「環境に優しい生活のためにすこやかな衣類を」を目標に掲げて開発されたファスリンク社の布は、一定の時間の経過とともに、自然分解される。生活環境に優しく、ユーザーの健康や安全も考え、アパレルメーカーにとって扱いやすい素材だ。

原材料は、コーヒー豆のかす、ハスの葉や茎、貝殻、ココナッツ炭、ミントのセルロース繊維の5種類。素材の開発は、「廃棄物に価値を与えたい」という強い情熱に後押しされて始まったが、今ではファッション業界の創造的発展を推し進める新しいステップとなっている。

今年1月15日に開催されたイベント、「グリーン・パス」では、これらの原材料で作る「グリーン・ファブリック」を紹介。最終製品をステージ上で披露し、素材の柔らかさや耐久性、ファッション性に優れた特性などを広くPRした。ファスリンク社の素材としての美しさや特性は、デザイナーらからも注目されており、若手デザイナーのボー・コン・カイン氏と協力し、コーヒーとミント糸で織った布を使ったコレクションが紹介された=写真。

ファスリンクのチャン・ホアン・フー・スアン最高経営責任者(CEO)は、同社が環境に優しい持続可能なファッション業界の確立に向けて、自己学習や自己探求、創造性の育成、課題解決の探求などの努力を喚起し、発展させてきた。「グリーン・パスの開催によって、ベトナムの消費者が健康と環境に配慮した最高の製品を手にできるよう、地域社会や仲間にメッセージを広めたい」との期待を示し、アパレル業界における環境配慮活動のパイオニアとして、原材料だけでなく、最終製品に至るまでのエコファッションにこだわっていく姿勢を示した。