住宅や病院を備えた工業団地を 新型コロナで見えた課題

新型コロナウイルスの流行を機に、国内工業団地の課題が浮き彫りになってきた。ベトナム商工会議所(VCCI)のホアン・クアン・ホン副会頭は、 「労働者の急増や企業ニーズの変化に対応できていない」と指摘している。

新型コロナの流行後、政府は労働者の感染予防のため、工場内に従業員を宿泊させるよう通達を出した。計画投資省の統計によると現在、国内61省・市に575の工業団地があるが、設備不足から多くの工場で実現できなかった。社会の変化は、工業団地に新たな問題をつきつけることになった。

専門家は、工場地を提供するということだけでは今後、工業団地は発展できず、新たな機能に特化したモデルに変わっていかなくてはならない、と指摘している。実際、他の東南アジアの国々ではすでに、住宅や病院、学校を統合した工業団地が整備されている。生活基盤を備えた多機能な工業団地は、企業の進出を促すことにもつながる。

しかし、政策面にはさまざまな課題がある。環境保護も避けられないテーマの一つだ。ドンナイ省 ニョンチャック県のニョンチャック6工業団地のカオ・ビエット・チュオン・ゼネラルディレクターによると、工業団地開発において今のところ、環境に関する特別なガイドラインは存在しない。

環境リスクは、ほとんどの工業団地で、住宅や病院、学校進出の障害となっている。また、工業団地内においては、資源の再利用を含めて、産業廃棄物やごみの処理を、認可業者と契約しなければならず、企業同士が独自に排出削減やリサイクルのために協力するというようなことはできないこともネックとなっている。

コロナ禍の中、政府はこれまで、人民委員会を通して工業団地の労働者の居住地を手配したり、製造現場とオフィスエリアの分離に必要なインフラを提供したりするなどしてきた。今後、工業団地のよりよい発展を目指すには、進出企業の要望を聴きながら、土地の利用方法やインフラなどの点について、関連法の条文を見直し、補充していく必要がありそうだ。