原材料や部品の調達、海外依存を改善へ ベトナムの製造業

すそ野産業や製造業など、ベトナムの工業分野が長期的に発展するには、原材料や部品の国内供給の実現が主軸となる。だが、原材料や部品の海外依存が高く、これがベトナムの製造業の世界的なサプライチェーンへの参入を妨げているという。

◇競争力を限定
ベトナム商工省によると、ベトナムのすそ野産業の約70%が中小企業であることが理由のひとつだ。また、資本金も欠如していることから、ベトナムで製造業に携わる企業のほとんどが、世界から大きく遅れた2世代も3世代も前の技術をいまだに使っており、これが付加価値の高い製品や競争力のある製品などを作ることを妨げているという。

現在、ベトナムのすそ野産業は、国内需要の10%に対応するのがやっとで、それも単純で価値の低い部品類の供給がほとんどだ。例えばベトナム繊維産業で見ると、実際にベトナムがかかわっているのは衣類の最終製品の生産部分だけで、これは利益率が5~10%にとどまる。

自動車生産分野でも、ベトナム国内の自動車組み立て企業の部品ニーズに応えることができ、国内で生産、供給されているのはほんの一部に過ぎない。

主要輸出産業分野とされる靴の製造や電子機器分野でも、原材料の約9割は海外からの輸入に依存する。電子機器分野においては、製造というよりも、コンポーネンツの最終組み立てと製品化の処理作業が中心で、ベトナムにおいては、すそ野産業の脆弱さが、製造加工業をはじめ、国内のあらゆる経済分野の製品で付加価値を低くとどめる主原因となっている。

◇求められる技術革新
ベトナム工業局工業発展センターのド・ナム・ビン所長は、同センターが「すそ野産業の企業向けに、技術や生産性を向上させるための訓練プログラムを定期的に企画している」と紹介する。

具体的には、電子回路製造の「4P」社(ハノイ市)は、世界最先端の回路基板製造技術に追いつくために、時代遅れとなった生産ラインの置き換えに数千万ドルの投資を実施するなど、技術革新を目指して先行投資を行う企業も出はじめている。同社幹部は、「機械と技術は、数年ごとに更新する必要がある。だが、その結果、より多くの製品が生産でき、迅速に資本を回収することができる」と話す。

JKベトナム工業社もまた、定期的に自社技術をアップデートさせ、技術を効率的に活用するための人材教育に尽力している。苦しい中でのすそ野産業のこのような自助努力を知るベトナムすそ野産業協会の代表者は、「企業に技術を革新させ、最先端の機械輸入を促すためには、国がすそ野産業に対してもっと融資面での優遇をすべきだ」と主張する。

このような声を受けて商工省は今後も、産業の発展を最大限に下支えし、良好なビジネス環境を確保に努める考えだ。特に自動車産業、エレクトロニクス分野、繊維産業、履物製造業、素材開発などの川下産業の発展を支援するため、自治体などに予算割り当てを強化するよう奨励している。

商工省は、ベトナムのすそ野産業、製造加工業に焦点を当てた、工業生産の発展に関する法律の定式化を提案。実現すれば、工業会にとっては初の独自の法律となり、原材料から最終製品までの一貫した「メイド・イン・ベトナム」を推進し、世界のサプライチェーンにベトナム企業が深く参入できる産業していく上での大きな支援になると期待される。