ベトナム株式市場、過去最高値を更新の見込み

ホーチミン証券取引所(HoSE)に上場している全銘柄の時価総額加重平均型の指数である「ベトナムVN指数」は2022年じゅうにも、1600ポイントを超え、過去最高値を更新する見込みだと専門家らは言う。外国資本が今後さらに流入し、経済回復が加速すれば、1800ポイント台も見えてきそうだ。

◇成長の見通し
昨年2021年は、ポイント数、市場の規模や流動性などあらゆる面で、ベトナム株価市場の好調が目立った一年だった。国家証券取引委員会によると、2021年12月28日までに、VNインデックスは2020年の年末と比べて35.4%高い1494.39ポイントを付け、ハノイ証券取引所(HNX)のHNXインデックスも同125.5%増の458.05ポイントとなった。ベトナムの株式市場時価総額は2020年年末に比べ46%増えて7729兆ドンに達した。これは、ベトナムの2020年の国内総生産(GDP)の122.8%、2021年のGDPの92%に相当する数字となった。

昨年はまた、新たな株式取引口座も増え、新規開設口座だけで150万だった。これは過去4年間の総数を上回る数だ。一部の立ち合いでは取引額が数十億ドルに達するなど、VN指数は2021年、歴史的高値を記録した。

今年は、ホーチミン証券取引所では1月28日までに537銘柄が取引され、時価総額はすでに2021年のGDPの68.67%に相当する5700兆ドンに達している。2022年の最初の立ち合いでは、110銘柄の株価が急上昇した。

さらに、ホーチミン市人民委員会のファン・バン・マイ委員長が2月8日、同市が国有企業などの民営化をさらに促進していくとの考えを表明。ホーチミン市として「株式市場に、優良な株式銘柄を上場し、今後は地域や世界の金融センターになれるよう努力したい」と話した。

◇外資流入は回復へ
昨年の株式市場では、外国人投資家による売りが、過去最高の62兆3580億ドンに達した。だが、HSBCベトナムで証券サービス責任者をつとめるジェームズ・エスタウ氏は、今年は外国人投資家が買いに戻ると見込む。市場規模はまだ比較的小さいものの、ベトナム市場の日々の平均取引額が継続的に増加しているからだ。昨年のアジア各国での1立ち合い当たりの平均取引額は、タイが20億ドル、インドネシアが8億ドル、シンガポールが5億ドル、フィリピンが1億ドルであったのに対し、ベトナムでは前年比250%増え、1立ち合いあたり25兆9600億ドン(約11億3000万ドル)に達した。

資産運用会社ビナキャピタル社のチーフ・エコノミストであるマイケル・コカラリ氏は、ベトナムの株式市場が今年、ベトナム経済の回復と海外からの資金流入をした支えに、さらに好調を維持するだろうと見ている。コカラリ氏は「生活必需品以外の消費財、金融、不動産などを含め、ベトナムの経済回復の恩恵を享受しそうな業種や特定の株式銘柄などを特定していくことが、今後のビナキャピタルの投資戦略だ」と話す。

株式市場をめぐっては、証券法に関連して新たに発効された規制や方針が、今後さらに企業支援を後押しし、投資家の正当な権利と利益を保護するものと期待されており、これも今年のベトナム株式市場にとっての好材料となりそうだ。