第1四半期のベトナムGDP成長率5.03% 昨年上回る

ベトナムの今年第1四半期の国内総生産(GDP)成長率は、5.03%に達した。4.72%だった昨年同期を上回ったものの、新型コロナウイルス流行前の2019年との比較では1.82ポイント減となった。計画投資省傘下のベトナム統計総局が発表した。

第1四半期の社会経済的統計について発表した記者会見で、ベトナム統計総局のグエン・ティ・フオン局長は、今年1~3月のベトナム経済について、「昨年と比較すると、前向きな変化が多くみられた」と評価。その一例として、サービス業の回復が堅調に進んでいること、製造業をはじめとした工業全般的に順調な発展がみられることなどを挙げた。

分野別でみると、工業・建設部門は8.36%増となり、経済全体の成長の51.08%を占めるなど、工業・建設分野の回復が経済成長をけん引した。サービス業の生産高は前年同期比4.58%増となり、経済成長に占める割合は43.16%、農林水産業は同2.45%増で、経済全体の成長の5.76%だった。

ベトナム統計総局のデータによると、農林水産分野では、メコンデルタの1ヘクタール当たりのコメ収量が前年同期と比べて0.7トン増加し、これが大きく寄与したという。畜産業も徐々に回復しており、材木の加工と輸出でも、肯定的なきざしが見られるとした。

また、養殖漁業も安定した発展を見せた。需要が高まっていることから、淡水魚のパンガシウスとエビが高値で売買された。

サービス業の第1四半期は、新型コロナウイルスの感染拡大で前年、停止されていたさまざまな事業や店舗が営業を再開した結果、大きく躍進した。金融、銀行、保険の分野の回復が特に目覚ましく、総付加価値の9.75%を占めた。これに輸送・倉庫業(同7.06%)、小売・卸売業(同2.98%)、ホテルとケータリングサービス(同1.79%)と続いた。

経済構造で見ると、第1四半期のベトナム経済に占める農林水産業は、全体の約11%を占めた。また、製造業・建設業は全体の約38%、サービス業が全体の41.7%となった。

GDPを支出面からみると、最終消費支出は前年同期比で4.28%増加。国内総固定資本形成は3.22%増加した。財貨とサービスの輸出は5.08%増、財貨とサービスの輸入は4.20%増加した。