日本への農林水産品輸出、コーヒーや青果物など好調な伸び

日本市場は農林水産品や食品への需要が高く、ベトナムのさらなる輸出拡大が期待される。Foodex Japan 2022でのベトナムパビリオン=写真㊤

◇大きな需要
在日ベトナム貿易事務所によると、日本には農林水産品や食品に大きな需要があり、具体的には、魚とその加工品、エビ、ウナギ、肉とその加工品、大豆、穀物製品、生鮮フルーツとその加工品、野菜、コーヒーなどが挙げられる。昨年、ベトナムの日本に対する農林水産輸出は、前年比0.5%減の18億ドル(約2,200億円)だった。主要輸出品である水産品が7.4%減少したことを除けば、他の品目は好調な伸びを示し、例えば、コーヒー(25.5%増)、青果物(20%増)、カシューナッツ(39%増)、コショウ(56%増)などだ。また、ドラゴンフルーツやマンゴー、ココナッツやライチといった一部のベトナム産フルーツは、日本の消費者の支持を得て市場シェアを拡大している。

ベトナムから輸入される農林水産品や食品は、近年、日本に住むベトナム人就労者などが増えたことで、日本でニッチな地位を確立している。

◇市場シェアの拡大
ベトナム企業の日本市場参入を後押しするため、在日ベトナム貿易事務所は、対面やオンライン形式による貿易促進活動を強化している。

同事務所は、ベトナム企業からサンプルやカタログを受け取り、国際展示会や全国チェーンのスーパーマーケットであるイオンの「ベトナム商品ウイーク」で展示している。

3月8日から4日間開催されたThe Foodex Japan 2022も、ベトナムの輸出業者にとって、農林水産品や食品の輸出を促進する機会となった。今年の展示会には、食品・飲料の輸入やベトナムとの取引を専門とする日本の大手企業が数多く集まった。

ベトナムパビリオンでは、日本のベトナム人コミュニティで評価の高い輸入業者5社が、10のブースを出展。ブースには、乾麺や春雨、冷凍・ドライフルーツ、塩味カシューナッツ、ディッピングソースやスパイス、粉末・インスタントコーヒー、ビール・ワインなどの飲料、ココナッツクリームやココナッツミルク加工品などが並んだ。

在日ベトナム貿易参事官のタ・ドゥック・ミン氏は、「今年の展示会では、日本の消費者にベトナムの高品質な製品を紹介する機会を提供した。ベトナム製品の貿易を行う企業にとっては、新しいパートナーとの出会いや価値のある契約を結ぶ機会となり、日本市場におけるベトナム食品のイメージアップにもつながった」と話す。

農林水産品や食品の対日輸出にはまだ拡大の余地があり、ベトナム企業は、食品衛生や安全に関する日本の厳しい基準に適合するために、製品の品質に注意を払うとともに、日本の消費者を惹きつけるよう製品パッケージの改良も必要だ。また、輸出業者は、日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)や日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、CPTPPやRCEPといった自由貿易協定の関税優遇措置を有効に活用する必要がある。