炭鉱の技術革新、石炭採取の生産安定化へ

モンズオンコール(石炭)社(クアンニン省)はこれまで、炭鉱の地形が複雑であったために、石炭採取や生産性の面で多くの課題に直面していた。しかし、新しい採掘技術の効果的な導入によって、同社は生産を安定させ、発展に向けて弾みをつけている。

◇機械化の先駆け
鉱山が複雑な地質構造であったために、モンズオンコール社は従来、深さ400mを超える地点での石炭採取で、重機や機械を連動して使用することが困難だった。そこで同社の経営陣は、CGH技術を用いることで、低コストで生産力を高める採掘システムの導入を目指した。

写真㊤=石炭採掘の機械化を推進

2019年までの時点で、同社はベトナム国営石炭鉱物公社(Vinacomin)の中で、初めてこの技術を試験的に採用した。移動式油圧スタンディングフレーム、石炭掘削機、石炭収集レーキなど、鉱山機械には総額1180億ドン(約6億6000万円)以上の投資を行った。また、地下輸送システムを構築したことで、石炭の輸送能力は、年間120万トンから150万トンに向上した。移動式油圧スタンディングフレームは、作業量を削減して生産性を高めたほか、労働安全性の確保にも役立っている。現在、鉱山で直接石炭を採取する作業者の生産性は、1人当たり17~20トンだ。

この2年の間に、システムはコストを回収することができ、地下での石炭採掘の可能性が広がった。以前の採掘法と比較して、CGH自動化・コンピューター化技術の生産量は2倍を超え、労働生産性は約5倍となった。

◇技術革新
新しい技術の導入によって、同社は生産目標を達成することができた。2022年は、第2四半期の生産量を年間計画の27%以上と設定し、第3四半期は24%、第4四半期は26%を維持するよう目指している。計画実現に向けて、同社は生産要件を確保するための技術設計を行った。地下採掘現場での生産性向上のため、コンディションや地質に合わせて、「XDY」や「ZH-1600」といった油圧式サポートフレームを採掘に使用する予定だ。

加えて同社は、「ZRY」スタンディングフレームを用いてCGHラインの連続運転を維持することで、採掘を進めるとともに、採掘プロセスに機械設備も導入する。また、石炭輸送ラインを設置し、合理的な輸送計画を実施して人手を削減する予定だ。

モンズオンコール社の技術は、採掘量を向上させるだけでなく、石炭の損失を減らし、作業員の安全性を高めて、持続可能な開発のための環境改善に貢献する。

同社は2023年半ばまでに、地下400mの地点に人や原料を輸送し、換気や排水を行うための垂直坑井の掘削を開始する。総投資額は約1兆3300億ドン(約74億円)となる見込み。垂直坑井は2026年に使用を開始する予定だ。