ベトナムのコメ輸出価格上昇、世界の需要増と品質改良を受けて

世界的な需要の高まりと品質、認知度の向上に伴って、ベトナムのコメの輸出価格が急騰している。

◇注文の増加
カントー市のチュン・アン・ハイテク農業会社は、6月中に1万5000トンの砕米を韓国へ輸出する。韓国のパートナーは、ビール製造用のコメをFOB価格1トン369ドル(約5万円)で購入したが、これはベトナム食糧協会が同種製品に表示した価格より、1トン当たり31ドル(約4200円)高い。

他の多くのベトナム企業も、コロナ後のコメの需要増に合わせて、輸出を強化している。商工省のデータによると、コメの輸出量は2022年第1四半期に最高の伸びを示し、148万トンに達した。輸出額としては7億1500万ドル(約961億円)に相当する。前年同期に比べて輸出量は24%、輸出額は10.5%増加した。

ベトナム食糧協会によると、ベトナムは主要なコメ輸出国となり、破砕米5%入りのコメの価格は、今年初めに比べて1トン当たり12~15%、3月初めに比べて1トン当たり10ドル(約1300円)上昇した。4月初めには1トン415ドル(約5万5800円)と、過去3カ月で最高値となった。同種のタイ米は1トン408~412ドル(約5万4800~5万5400円)で取引されている。

商工省は、輸出額が増加したのは、高品質なコメの比率を増やすために、国がコメの輸出構造を転換したためだとしている。ベトナムは、要求の高い市場の基準に合わせた高品質なコメの栽培を増やして、競争力を高めている。

スウェーデン・北欧市場のベトナム貿易事務所によると、欧州は推定180万トンの精米を輸入するとされ、今後10年間で、コメの輸入量は約25万トン増加するとみられている。例えば、ロック・トロイグループは、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の下、2021年に4170トンの高品質なコメをEUへ輸出しており、今後もEUや豪州への輸出増を見込んでいる。

◇ブランド開発
農業農村開発省は、2025年、2030年に向けたコメ産業の再構築プロジェクトを承認した。コメの品質と価値の向上、ライス生産チェーンの形成、気候変動に対応したクライメート・スマート農業の開発、農家の所得向上、品質の高いコメに対する消費者の需要に応えることが目的だ。ブランド開発は、このプロジェクトの重要部分であり、同種のノーブランド品よりも10~20%高い価格を想定する。

商工省は企業に対し、市場情報の入手や輸出の促進、FTAの活用、新市場の探索、市場の多様化、輸出米の品質改良の面で、引き続き支援を行っていく。

近年、ST24やST25、ジャスミン米などを含むベトナムの高品質なコメが、要求の高いEUの主要市場に進出し、コメの輸出額の増加に貢献している。2022年、ベトナムのEU向けコメ輸出は、少なくとも6万トンに達する見込みだ。