ベトナム国営石炭鉱物公社(Vinacomin)の子会社であるビナコミンパワー社は、生産目標の達成とともに、労働安全と環境衛生の確保にも力を入れている。

写真㊤=ビナコミンパワー社は、環境の改善と景観のリノベーションのために植樹を行っている

現在、同社は、6つの火力発電所と1つの水力発電所(総出力1736.2MW)、年間12万5000トンの生産能力を持つ炭鉱を管理、運営している。加えて、貿易や生産の強化、環境保護にも注意を払っている。

同社のギエム・スアン・チエン副社長は、「当社の管理下にあるすべてのユニットで、環境保護規制の順守について定期的に監視・検査している。火力発電所からの排気ガスを厳格に管理し、大気中に排出する前に基準値以内に抑えている」と述べ、「環境保護に関わる建設工事を加速することで、経済成長のために環境を犠牲にしないという決意を示している。生産工程で発生するすべての廃水は、規制に従って収集、処理される」と続けた。

火力発電所では、循環流動層(CFB)ボイラを使用しているため、燃焼工程におけるNOx(窒素酸化物)の排出は抑えられる。また、石灰石の使用により、SOx(硫黄酸化物)の排出も削減できる。さらには、電気集塵機を導入して粉塵の発生も抑えている。

火力発電所から発生する灰やスラグは、生産資材や建材に再利用されている。一部の工場では、生産時に発生する灰、スラグ、石膏をすべて消費している。しかしながら、灰やスラグから作られた製品は市場では信用度が低いため、販売は依然、困難な状況だ。

建設科学技術研究所は、同社の灰やスラグについて、ベトナム規格TCVN 12249:2018に基づく「レベリング材」、TCVN 6882:2016に基づく「セメント製造用鉱物添加剤」としての標準化証明書を付与している。

環境保護を進めていくために、同社はすべてのユニットに対し、規制に従って環境モニタリングを実施し、ミスト装置を導入してタンクローリーの粉塵へ噴霧する頻度を高めるほか、環境の改善と景観のリノベーションを目的に植樹を行うよう指示した。

同社は、環境保護に向けて、再生可能エネルギーの使用と十分な資金調達を目標としている。