広がるトレーサビリティー QRコードで読み取り

食品や衣料品が、どこでつくられ、どのように流通したのかなどを明示するトレーサビリティー(生産流通履歴管理)への関心が高まっている。売り場に並ぶ商品のQRコードを読み込んで、履歴を知ることができる便利な方法も登場。偽物や粗悪品を追放するうえでも、あらゆる製品への普及が期待されている。

写真㊤=スマホからQRコードを読むだけで、生産流通履歴にアクセス。商品の由来を知る方法を、ますます簡単になっている

QRコードを使った生産流通履歴システムは今や、世界市場に製品に売り込むうえでの必要条件。企業や生産者が、グローバル・サプライチェーンの一角にくいこむためには、欠かすことができないとされている。

消費者が生産流通履歴にアクセスする方法もますます便利になってきた。代表例がQRコードの利用で、ホーチミン市はそのパイオニア的な地域だ。同市では2016年以来、仕組み作りを進めてきた。


安心安全な買い物のためには、購入時に生産流通履歴の確認を習慣づけることも大切だ

同市農業農村開発局農業経済再生相談センターのボ・ズック・ズイ・アン氏は、「16年から試験事業として野菜に生産者スタンプをつける取り組みをスタートした。スタンプをつけた野菜の出荷量は当初、1日当たり4㌧だったが、5年後に約5倍の21㌧になった」と関心の高まりを強調する。

同市食品安全衛生管理委員会のチ・チュアン・ホン委員によると、6月現在、19の省と市の約4300の畜産施設と130の食肉処理場、400の小売業者を含む約7000の販売施設が生産流通履歴管理に関するプロジェクトに取り組んでいる。

同委員会では、関連部局に対して、零細な業者向けの明確なルール作りを提案。市科学技術局などと連係して、ブタ肉やトリ肉、卵への生産流通履歴管理システムの導入を推進する一方、消費者に対しても農産物や畜産物、水産物の履歴に対する意識の向上に努めている。