日本からの投資は加速 落ち込みは一時的

東南アジアに進出を考える日本企業にとって、ベトナムは今や最有力候補地の国なっている。新興国、ベトナムの市場は活気にあふれ、進出企業には大きな魅力だ。新型コロナウイルスの感染が拡大したこの2年、日本からベトナムへの投資は鈍化したが、専門家は落ち込みを一時的なものとみている。日本企業のベトナム重視に変わりはなく、投資は今後加速するとみられる。傾向としては、製造業から、小売りや金融分野へのシフトがみられるほか、ユニクロや無印良品といった有力ブランドの投資も目立っている。

写真=ユニクロや無印良品など、有名ブランドの投資も目立っている

計画投資省ベトナム投資庁によると、2022年6月末現在の日本からベトナムへの投資額は650億ドル(約9兆3100億円)。3番目に大きな投資国となっている。日本からは昨年、オモン火力発電所2号機建設事業への310億ドル(約4兆4400億円)をはじめ、包装資材を製造・販売のビナクラフトペーパーへの6億1140万㌦(約870億円)など、大型の投資が相次いだ。

ジェトロ・ホーチミン事務所の松本暢之所長は、「新型コロナウイルの流行が抑制されつつあるなか、 両国間の貿易や日本からベトナムへの投資は、再び加速するだろう」と話す。こうした発言を裏付けるように、日本の企業の動きは活発だ。 パイプラインの継ぎ目に挟み込むパッキン・ガスケットの加工販売をするジャスティン(本社・愛媛県四国中央市)の種田(おいだ)宗司社長は、「現在、ドンナイ省で、ベトナム国内や東南アジア向け製品の製造プラント建設のチャンスをうかがっている」と話す。総合商社の双日などが出資する日系の工業団地、 ロンドウック工業団地の事業主体、ロンドウック・インベストメントの石井博之社長によると、同工業団地にはすでに、日本を中心に66社を誘致。さらに多くの企業にスペースを提供できるよう、拡張の手続きも終えたとしている。

日本の政府は昨年以来、日本企業が海外でのサプライチェーンを多様化できるよう支援している。こうした政策も、ベトナムへの投資の追い風となりそうだ。