UKVFTAの恩恵、対英輸出が増加

工業製品がベトナムの対英輸出に大きく貢献している。

新型コロナウイルスによる影響下でも、2021年1月1日に発効した英国・ベトナム自由貿易協定(UKVFTA)によって、ベトナムの対英輸出は増加。2020年より16.4%増え、57億ドル(約8100億円)を超えた。2022年上半期には、ベトナムと英国の貿易額は約33億ドル(約4700億円)となり、そのうち英国への輸出は29億ドル(約4100億円)で前年比1.2%の増加。輸入は3億7,250万ドル(約530億円)で9.9%減少した。

写真㊤=工業製品の対英輸出が大きく伸びている

商工省によると、ベトナムは、英国への輸出国では23位にランクしている。2021年、ベトナムから英国への輸出額では、工業製品(鉄鋼、その他金属を除く)が44.2%を占め、25億4000万ドル(約3600億円)に上った。主な輸出品は、携帯電話とその部品(輸出総額の24%)、機械・設備・予備部品(同10.8%)、鉄鋼(同8.7%)、コンピューター・電気製品とその部品(同5.6%)などだった。

同省は、対英輸出の増加について、UKVFTAによって輸入税がゼロとなり、多くのベトナム製品が、中国やタイ、マレーシア、インドネシアなどの類似品と比べて競争力を持ったことが要因だとしている。

UKVFTAによる関税優遇措置は、ベトナムの工業品メーカーに英国のサプライチェーンに参入する機会をもたらす。クリーンで再生可能なエネルギーへの移行やデジタルトランスフォーメーションは、投資や貿易面で新たな機会を生み出す。

過去2年間、英国は新型コロナやEU離脱、ロシアへの経済制裁の影響により、材料の供給不足に直面したため、ベトナムの工業製品や農林水産品、食品、木材製品、繊維・衣料品などの輸出機会が開かれた。

しかし、来年1月1日以降は、英国が輸入するほとんどの工業製品に「UKCA(英国適合性評価済み)マーキング」が必要となるため、国内企業が貿易を継続できるよう早急な指導が求められる。

商工省欧米市場局のタ・ホアン・リン局長は、「UKCAマーキングは、デザインや包装、外観など、製品の種類ごとに特定の要件がある。これらは輸出企業自身が評価することも、第三者が評価することも可能だ」と述べる。

UKCAマーキングは、安全や健康、環境に関する要求事項を認証するEUのCEマークに代わるものだ。UKCAマーキングは、2021年1月1日から有効であったが、準備のための移行期間中は、英国はCEマーキングも受け入れていた。

欧米市場局によると、手袋、フェイスマスク、防護服、鉄、アルミニウム、建築用ガラス、フローリング用木材を製造する一部のベトナム企業は、すでにUKCAマーキングを取得している。国内企業は、英国規格協会にUKCAマーキングに関するコンサルティングを受けることもできる。

UKVFTAは、ベトナムと英国の二国間貿易を促進すると期待されている。国内企業は、英国市場の厳しい要求を満たすために、生産能力や製品品質の向上を目指さなければならない。