ベトナムのニュージーランドへの輸出額は現在、同国の輸入額の1.7%だが、今後さらなる拡大が期待される。

写真㊤=対ニュージーランド向け輸出では、コーヒーが主要な輸出品だ

2022年1~8月期の二国間貿易額は、17億NZドル(約1400億円)で、前年同期比で21.4%増加した。ベトナムの主要輸出品では、茶・コーヒーが913万NZドル(約7億8000万円、前年同期比52%増)、陶磁器製品は670万NZドル(約5億7000万円、同108%増)、紙・紙製品は890万NZドル(約7億8000万円、同48%増)、鉄鋼は1,360万NZドル(約11億6000万円、同36.8%増)、繊維・衣料品は1億7369万NZドル(約146億円、22.8%増)だった。

在ニュージーランドのベトナム貿易事務所によると、大部分の輸出品は2ケタ成長を遂げ、一部の建材だけが価格上昇や輸入側の需要減により減少したという。

ASEAN-オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、地域的な包括的経済連携(RCEP)といった多国間自由貿易協定に両国が加盟し、関税や非関税障壁が削減もしくは撤廃されることにより、ベトナムの対ニュージーランド輸出は、さらに成長するとみられている。

同貿易事務所によると、これらの協定は、ニュージーランドとFTAを結んでいない国からの輸出品と比較して、ベトナム製品の競争力向上に役立つとされる。米中貿易戦争や新型コロナウイルスによる影響を受けて、多くの国や企業はサプライチェーンを中国から移行させることを検討しており、ニュージーランドでも、特に繊維・衣料品や建材分野では、ベトナムのサプライヤーを探す企業が増えてきている。

商工省はニュージーランドへのドラゴンフルーツの輸出を促進するための条件を整備している

ニュージーランドは農産物、水産物、食品の輸入に、厳しい技術障壁や基準を設けているが、これまでベトナムからのマンゴーやドラゴンフルーツ、ランブータン、トラフィッシュ(ナマズの一種)、加工食品の輸入を許可してきた。しかし、輸送コストが高いため、オーストラリアや中国、インドからの輸入品と比べて、ベトナム製品の価格競争力は損なわれている。

次世代自由貿易協定の下、ニュージーランドに輸入されるすべてのベトナム製品に対する輸入税は、CPTPPでは2020年初頭から、RCEPでは2022年1月から撤廃された。コロナ後の消費・旅行需要の回復などにより、両国の経済協力や貿易は拡大する可能性が高いとみられる。

同貿易事務所は、ニュージーランド向けの輸出を促進するために、農産物や林産物、水産物の輸出にかかる法的手続きを円滑化することに重点を置いた体系的・長期的な戦略が必要だと強調する。また、ニュージーランドに対し、ベトナムの農産物や水産物の門戸をさらに広げるよう求めるとともに、バリューチェーンの構築や製品の品質向上に向けた食品加工技術の向上、貿易促進活動の強化などを提言している。