ベトナムの工芸村、Eコマースの活用進む

工芸村の企業はEコマースを活用することで、パンデミック後の回復や市場拡大、競争力強化を図っている。

写真㊤=ハノイ市ザーラム県のバッチャン村での買い物風景

近年、全国の工芸村は、製品をオンラインプラットフォームで紹介して、取引の効率化やブランド価値向上に努めている。以前は、見本市や貿易促進活動に頼らざるを得なかったことから考えると、大きな変化だ。

グローバルインベストメント・デジタル技術開発のディレクター、ハ・ティ・ホア氏は、「バクニン省の木材工芸村であるドンキー木材協会は、ザロやフェイスブックといったSNS上に販売グループを立ち上げ、179を超える世帯とリンクさせている。これらのグループは、メンバーが生産材料を探したり、製品を紹介したり、バイヤーやサプライヤーを見つけたりするのに役立っている」と話す。

ハノイ市ザーラム県にある有名なバッチャン村の生産者や企業も、オーダー獲得と市場拡大を目指して、オンラインビジネスを取り入れている。他の省の卸売業者は、ウェブサイトやSNSからバッチャン村の新製品を知ることができる。村の生産者や取引業者によるEコマースは急速に成長し、日本や米国、EUなどの海外市場への輸出も増えている。

しかし一方で、資本や人材の不足は否めず、地方の工芸会社の一部では、デジタル技術やEコマースによる取引は難しい状況だ。

ベトナムには約400の伝統工芸村があり、約200万人を雇用し、農家に季節労働を生み出している。工芸品の輸出額は約25億ドル(約3470億円)。経済的利益に加えて、ベトナムの文化・歴史遺産の保護にも役立っている。

各工芸村には、代々受け継がれてきた得意分野がある。漆器、陶器、鍛冶、刺繍、竹・籐加工、かご細工、民画、木材・石材彫刻、料理など、その種類は多岐にわたる。工芸村の多くは、人気の観光地になっている。

ベトナム工芸村協会(VICRAFTS)のルー・ズイ・ダン会長は、「工芸村ではオンラインの活用がさかんで、顧客はその製品デザインや開発にアクセスできるようになっている」と話した。