続くグローバルサプライチェーンの混乱

新型コロナウイルスの感染拡大は、グローバルサプライチェーンに機会と課題をもたらした。中断のない貿易の流れを確保するために、各国は新たな機会を活用して、グローバルサプライチェーンに直面する課題を克服しなければならない。

◇供給不足
最近、商工省が開催した「パンデミック下とポストパンデミック期の経済回復におけるグローバルバリューチェーンの機会と課題」に関する会議では、国内外の専門家らが、パンデミックによって多くの国々の貿易の流れが中断し、グローバルバリューチェーンが大きく弱体化したと指摘した。

国際経済統合のための省庁間運営委員会のチン・ミン・アイン委員長によると、地域や世界経済は、産業用中間材の大幅な不足に直面している。このショックは急速に広がり、近年比較的安定していたグローバルサプライチェーンの混乱を招いた。

しかし一方で、専門家は、こうした事態はグローバルサプライチェーンの新たな機会、保護主義の台頭の中で、より柔軟な生産ネットワークの構築やサプライチェーンの再構築を加速する原動力になる、とも指摘している。

一般経済問題・統合研究部(計画投資省・中央経済管理研究所)のグエン・アイン・ズオン部長は、「グローバルサプライチェーンが、今年中にコロナ流行前の状態に戻ることはないだろう」と予測する。各国のインフレ率の上昇やロシア・ウクライナ危機といった追加要因も、当面の間、グローバルサプライチェーンへの大きな圧力となるとみている。

◇ビジネスの円滑化
インドネシアのインダストリー4.0委員会の代表であるファイザイ・サファ氏によると、新型コロナの流行により、多くの商品の直接輸送が妨げられたが、その代わりにデジタルプラットフォームを活用した流通が可能になったという。また、顧客の消費習慣も変化し、テクノロジーに基づいた購買行動が見られるようになった。新型コロナによって、多くの国でテクノロジープラットフォームやデジタルトランスフォーメーション政策が進んだおかげで、企業によるEコマースプラットフォームの構築が一層進み、企業や労働者がより効率的に行動できるようになった。

サファ氏は、「グローバルサプライチェーンを円滑化するために、各国はデジタルトランスフォーメーションのインフラを構築し、Eコマースを促進するなどして、適切な政策調整を行う必要がある」と指摘。「特に、各国政府は、物流コストを削減し、商品の流通を促進し、企業の競争力を高めるための計画を実施すべきだ」と語った。

チリ国際経済関係局グローバルサプライチェーン部、上級経済アドバイザーのルシアーノ・クエルボ氏も同じ意見で、「グローバルバリューチェーンのリスクを減らすために、各国政府は関税や非関税障壁を引き下げる必要があり、それによって貿易が促進され、企業による新しい市場の探索が容易になる」とした。

米国化学評議会の国際問題担当ディレクターのジェイソン・バーンスタイン氏によると、関税障壁に加えて、国境管理の改善も貿易促進のためには必要だという。多くの国々では国境で過剰な事務処理を要求しており、そのために時間を要し、商品の流通効率が悪くなるため、貿易の流れやグローバルサプライチェーンに影響を与えている。

グローバルサプライチェーンによるリスクを軽減するために、各国政府は輸送コストの削減や商品流通の円滑化、企業の競争力強化に向けた計画が必要だ。