ベトナムの食品、世界へ 日本への輸出は24.5%増

ベトナムの加工食品と農業生産品は今や、多くの国々に輸出され、消費者の信頼を得ている。商工省ベトナム輸出促進庁のブ・バ・フー・ディレクターによると、ベトナムの加工食品と農業生産品は現在、180の国・地域に輸出され、輸出高は毎年10億ドル(約1320億円)に上っている。

写真=国際貿易フェアは、ベトナムの企業に、効果的な貿易促進のための販路開拓につながる

このほど開催された貿易促進に関する会議には、海外事務所も参加。この席で、ベトナム貿易事務所代表は、食品輸出を増加させることはまだまだ可能との見方を示した。在日ベトナム・トレードカウンセラーのタ・ズック・ミン氏 は「日本の消費者は、 品質の向上を知るにつれ、家庭での食事として、ベトナム製の食品や素材を求めるようになってきた」と分析。また、「日本には50万人近いベトナム人が 住み、コミュニティーが形成されており、それがベトナム製品の需要増につながっている」と説明した。

昨年のベトナムの水産品や農産品の日本への輸出は前年比24.5%増の22億4000万㌦(約2960億円)を記録。特に水産品が大きく28.8%増の17億㌦(約2250億円)に。このほか、コーヒーは22.6増の2億7760万㌦(約360億円)、くだものと野菜が7.8%増の1億6500万㌦(約210億円)に達した。カシューナッツやコショウも顕著な伸びを示した。

在豪ベトナム貿易事務所のグエン・フ・ホア所長によると、豪州のスーパーマーケットとコンビニエンスストアは、ベトナムからの輸入食品を幅広く販売している。昨年の水産加工品食品や農産物の輸出高は前年比30%増の7億4400万㌦(約980億円)となった。エビや白身淡水魚のトラフィッシュ、バサの加工品が市場を拡大した。ホア所長は「現地の大使館と連係して、豪州内で開催される大規模なイベントに出品するなど、エビの売り込みにテコ入れをした」と話している。豪州に限らず、各国の在外事務所は、商工省のガイドラインに沿って。見本市などへの参加やベトナム産品ウイークの開催を通して、現地での販促に力を入れている。


輸出用マンゴーの加工工場

さまざまなイベントやフェアに参加して、市場に関する情報をアップデートすることは、ベトナムの加工食品業界にとって非常に需要だ。ベトナム輸出促進庁のフー氏によると、カシューナッツの消費国である米国やEU諸国、中国では、製品の持続可能性や社会、環境、経済面での影響や、サプライチェーンについての関心が高まっている。また、動物性タンパク質から植物性タンパク質へのシフトも世界的な流れとなっている。

フー氏はこうした状況を、「ベトナムの加工食品貿易にとって、一つのチャンスととらえるべきだ」と指摘。そのうえで、在外ベトナム貿易事務所は、各地方や団体、企業のブランディングや市場拡大、グローバルサプライチェーンへの参画のための支援を強化すべきだとしている。