コメからトウモロコシへ 農業の再構築

ベトナムでコメに次ぐ重要な農作物、トウモロコシ。そのトウモロコシが今、ベトナムの農業と、地方発展のカギを握る作物としてクローズアップされている。北部では、コメや他の作物からトウモロコシへの大規模な転作が進められている。

高まるトウモロコシ需要
農業農村開発省農業生産局のトラン ズアン ディン副局長によると、ベトナムでは飼料の原料となる大豆とトウモロコシの50~60%を輸入に頼っている。そして今、その飼料が価格高騰という危機に直面している。
ベトナムでは毎年、牛と羊、鶏の飼料に大量のトウモロコシと大豆を輸入している。150~160万トンのトウモロコシ、240万トンの大豆油かす、6000万トンの大豆その他の穀物を輸入している。総額では30億ドルに上ると見積もられている。その額は、コメの輸出益に匹敵する。

過去10年、トウモロコシを栽培する地域の収穫量と出荷量は増加してきた。現在、1ヘクタール当たり445キロの生産性を有する約120万ヘクタールの耕地が使用され、出荷量は平均年17万トンずつ増加している。北部では、75500ヘクタールがコメからトウモロコシ作りへと転作している。農業農村開発省によると、2015年までに、国内418000ヘクタールの米作エリアのうち12万ヘクタールがトウモロコシの栽培に転作する計画だ。

トウモロコシの生産性向上と収入の向上
しかし、実際には、トウモロコシの作付面積の増加と生産性の向上が農家の収入を向上させるかどうかという問題には、多くの課題が残されている。

カオ・デュ・ファット農業農村開発相は、「関連団体は、トウモロコシ栽培が他の作物より高い収入を得ることができて、他の国々のトウモロコシの生産性との差をつめることができるような適切な解決策を求めている。そうした目的が達成できるよう、トウモロコシ栽培に有利な条件の揃っているこれらの地域には、今後も最大限の注意が払われるべきである」と話している。

ベトナム北部地方におけるトウモロコシ生産と農業の再構築は、栽培地域の検証を進めることと計画性を高めることによってのみ実現され、そこで初めて転作前の作物より高い効果がもたらされる。そして、大規模生産と流通の構築が、農家と契約する企業の役割となってくるだろう。