1-8月の指標、ベトナムの経済回復を示す

貿易黒字や外国直接投資(FDI)の増加、安定した消費者物価指数(CPI)、豊富な外貨準備高など、1-8月のさまざまな経済指標が、ベトナム経済の安定と回復の兆しを示している。

貿易黒字を維持

ベトナム計画投資省によると、7月の輸出額は124億ドル(前月比0.2%増)となり、8月はさらに130億ドルに達した(前月比0.7%増)。このうち、燃料や鉱物の輸出額が、前月比12.4%、前年同月比21.5%増加。石炭、原油や石油の輸出額も前月比9-62%増加した。加工産業関連製品の輸出額は、前月比0.4%増にとどまったが、昨年の8月と比較すると10.7%の伸びとなった。1-8月の輸出額全体は約970億ドルに達しており(昨年同期比14.1%増)、これは主に魚介類、コーヒー、胡椒などの輸出の伸び(22-41%増)による。

一方で、8月の輸入額は約129億ドルで、前月比0.5%減少した。1-8月の総輸入額は952億8000万ドル(前年同期比12%増)。8月の貿易収支は黒字を維持。1-8月の貿易黒字は17億円だった。

経済回復が継続

ベトナム経済がこの7、8月に回復しつつあることを示す経済指標はほかにもある。

全産業部門での生産指数は、前年の同じ月と比べて7月に前月比で7.5%増となり、8月は同6.7%増と見込まれる。商品やサービスの総売り上げは、7月が238兆7300億ドン(前月比0.3%増)、8月は242兆2900億ドン(同0.14%増)。1-8月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比の1.84%増加にとどまった。ここ数年では最も低い数字で、インフレが安定して抑制されていることを示す。

また、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が7月末に発表した報告書によると、今年7月のベトナムの消費者信頼感指数(CCI)は134.1で、前月より3.1ポイント改善した。

2014年のベトナムの通年での外国直接投資の目標値が130億-140億ドルだったのに対して、計画投資省外国投資庁の最新の報告書では、1-8月の外国直接投資は126億3000万ドル(前年同期比19.5%増)に達した。注目すべきは、外国直接投資と政府開発援助(ODA)がともに、この2年間で改善していることだ。ベトナム経済は投資に依存する傾向があるため、この結果は経済成長にとって明るい材料だ。

金融と為替市場を見ると、8月の銀行金利は6カ月までの定期預金が年利5-6%、12カ月以上の定期預金で同7.5-8.1%で、比較的安定。一方で、外国為替市場はわずかに減退した。