ハイテク導入で農水産業の発展を フーイエンに研究、実験拠点

おだやかな気候に恵まれたベトナム南部沿岸部のフーイエン県(省)は、多様な地形と190㌔におよぶ海岸線、1万1000㌶以上の養殖地と6900平方㍍の漁場を有し、水産業の理想の地域として知られている。地元では、ハイテク農業や水産品加工分野の投資誘致を進めており、国とともに進めるさまざまな法的優遇措置のあるハイテク特区の整備など、農水産業による地域発展を目指している。

緑豊かなトゥルオンソン山と南シナ海に囲まれたフーイエン県には、ダラン、タック・バン、キーロの3本の河川が流れ、農水産業にとってきわめて良好な環境が広がっている。6900平方㍍の漁場は、良質のマグロやロブスター、カキの産地として名高く、県は2020年までに魚介類の養殖面積を1万1077㌶に拡大するとしている。

漁業が県内経済に占めるウエートもの大きい。2013年には、5500㌧のマグロを含む4万9550㌧の漁獲があった。昨年の水産品輸出は県内GDPの8%を占め、農林水産業全体に占める割合も36%に達した。県農業農村開発局のグエン トリ フオン局長は、「現在、地元では、輸出に向けの国際基準を満たす水産品加工設備へのニーズが高まっている」と話す。

フーイエン県には、水産加工品の設備投資に対し、さまざまな優遇措置が用意されている。このほど、県は2014─2020年期間の農作物と水産品生産に関する4つのプロジェクトを認可した。4件の中には、年間2000~3000㌧のマグロを購入し、400億ベトナムドン(約20億円)の投資をするプロジェクトも2件含まれている。

フオン局長は「プロジェクトは50年計画で、土地のリース料削減や企業収入税などの面で優遇措置を受けることができる。この優遇措置によって農業の発展がもたらされると期待している」と説明する。

ハイテク農水産業への期待
2013年末、政府は、フーイエン県にハイテク農水産業ゾーンを設けると発表した。研究機関や企業が集積すれば、フーイエンだけでなく、沿岸地域の先端的な一次産業の中心地となるだろう。ハイテク農業ゾーンはプ ハオ地区に建設されている。第1期工事の対象は460ヘクタールで、今後成果に応じて拡大していく。

政府の決定によると、ハイテク農水産業ゾーンは、少なくとも60%を研究やソフト企業が占めなければならない。ゾーンでは、ハイテク生産のデモンストレーションや養殖などは研究所や、屋外のフィールドで行われる。農水産品の生産を行う組織や企業、プラントには優遇措置が用意される。

ハイテク農水産業ゾーンでは、労働者や技術者、管理者の職業訓練のほか、展示やイベント、さまざまなサービスや設備、資材の提供、製品の販売も行われる。ゾーンへの投資は、関連法によって土地や税、そのほかの優遇措置を受けることができる。政府や地方予算、個人、団体の多様な資本によってゾーンはますます発展していくと予想される。

フーイエン・ハイテク農業ゾーン公社のビエン・ミン・タム代表は、「ゾーンの誕生は、プーイエンの農水産業の発展のうえで、有効な第一歩となるだろう」と話している。