ハロン湾 ユネスコ世界遺産認定から20年 保全と観光促進に尽力

この11月で、ハロン湾のユネスコ世界自然遺産認定から20年となった。クアンニン省人民委員会の努力もあり、ベトナムが誇るこの風光明媚な名所は、観光の促進や景観保全のための各国からの協力もあり、世界にその魅力を発信し続けてきた。

経済発展に勢い
ハロン湾管理委員会のファム・トゥイ・ゾン委員長は言う。

「ハロン湾は、クアンニン省の強大な進歩に大きく貢献してくれた」

この世界遺産が、省の社会的、経済的発展に及ぼす影響は、この20年で、ますます大きくなっている。さらに、ベトナムが国際社会で名を高めるにつれ、ベトナム各地の他の世界遺産とともに、観光分野の開発を促す強力な原動力ともなってきた。

このことは、ハロン湾を訪れる国内外からの旅行客の増加が顕著に示している。今年1年間のハロン湾への観光客は計280万人に達した。観光収入も1200億ベトナムドンに及ぶ見込みだ。

文化・スポーツ・観光省のダン・チー・ビ・リエン副大臣は、「ハロン湾や他の世界遺産のおかげで、世界的な遺産価値の保全と地域振興のあり方に関して、ベトナムのさまざまな地方や分野の人々の関心が高まっている」と話す。

保全のための努力
ファム・トゥイ・ゾン委員長によると、ハロン湾が世界遺産の認定を受けてから20年間のあいだに、クアンニン省は、政府や文化・スポーツ・観光省やその他の関係者の指示のもと、国際機関などの支援を受けながら、ハロン湾遺跡を積極的に保全しながら地域を振興するためのいくつかの決議案や行動計画を策定してきたという。

例えば、クアンニン省人民委員会は、湾の保全に焦点を当てた「ハロン湾環境計画 2020-2030年」を承認している。これは、遺産の自然環境を保全し、持続可能なかたちでの開発を確約するために、地元住民らの意識を高め、一帯にベトナムや世界の自然保護基準を適用していくというものだ。

しかし、ファム・トゥイ・ゾン委員長は、ハロン湾の保全と観光・開発の促進との両立には、まだ障壁が立ちふさがっていることも指摘する。例えば、郊外の造成や産業の発展などが、生態系や風景に与える悪影響などがある。湾を訪れる観光客の増加と、それに伴う自動車などの急増も、世界遺産委員会にとって、遺産を保全するうえでの悩みの種だ。

ユネスコベトナム事務所のカトリーヌ・ミュラー代表は、「ベトナムでは全般において、歴史的遺産の価値保全と、地域振興のためのさらなる努力が必要だ。カギとなるのは、特に観光分野において、保全と発展をバランスよく進めることだ」と話す。ハロン湾やフエ、ホイアンなどいくつかの歴史的遺産はますます多くの観光客を集めるようになっているが、これらの地に悪い衝撃を与えないよう、国や地方当局などが適切な手段を取ることも必要だとした。

また、ミュラー代表は「今後、ハロン湾管理委員会は、持続可能な方向を目指して保全と開発促進を続ける。そして、各省庁からの投資をはじめとして国内はもちろん、二国間、多国間の協力プログラムを通じた海外の組織からの支援と投資も得て、委員会と地域当局は、ハロン湾がその価値と名声に見合ったすばらしい自然遺産となるよう力を注いでくれるだろう」と話した。