フン王の命日の4月28日、ハノイの西北にあるフート省でフン王の功績をたたえる祭りが催された。チュオン・タン・サン国家主席らが参列して線香を手向けたほか、期間中に全国から700万人を超える参拝者が訪れた。

祝祭はベトナムの国を創設したと伝説のフン王の功績をたたえるもので、旧暦の3月8日から11日にかけて毎年行われる。最も重要な祭礼が行われる4月28日は、2007年以降、国民の祝日となっている。4月30日の南部解放記念日とメーデー(5月1日)と合わせて、公務員や労働者らは4月29日に休日を取り、ベトナムはこの時期が大型の連休となる。

フン王にゆかりのある寺院はベトナム各地にあり、それぞれの寺で儀式が執り行われた。なかでもフート省の省都、ベトチー市のフン寺で行われる祭りは特に規模が大きく、毎年、国家の要人らも参加する。

この日、フート省人民委員会のチュー・ゴック・アイン議長は記念演説で、ベトナムの歴史上最初の国家とされるバンラン(文郎)を築いたフン王の命日と、国家の独立のために命を落とした先祖らを重ねて、国の創始者らの偉大な貢献を強調した。さらに人民の平和への思いと国際社会の中での連帯についても述べ、国家指導者らや党、国民がひとつとなってベトナムを繁栄させる努力を続けることを求めた。


フン王の祭礼で線香を手向けるサン国家主席

祭礼ではベトナムの国家創設に貢献した先祖たちの功績をたたえると同時に深い感謝の念を込めて、サン国家主席らが花や贈り物、線香を祭壇にささげて今後の繁栄と長寿を祈った。

さらにフン寺周辺ではスポーツや文化などのさまざまな活動が展開された。今年は伝統歌謡のハットソアンの祭典、バンチュン(もち米で作る祝賀料理)づくりのコンテストなどの伝統的な催しのほか、写真展、北西部地方の観光フェア、花火、音楽と詩の夕べ、バレーボールやテニスの大会なども行われた。

フン王の崇拝儀礼は伝統歌謡のハットソアンとともにユネスコの世界無形文化遺産に登録されており、フート省ではこれらの浸透と知名度アップに力を入れている。その成果もあって、年々人気が高まっており、今年はベトナム各地からフン王陵に参拝するために約700万-800万人がフート省を訪れたという。