中越国境で農作物の輸出停滞、手続き迅速化やインフラ整備など模索 ランソン省

商工省代表者らとランソン省はこのほど、中越国境での農産物輸出処理の課題や迅速化を検討する会議を開いた。果物などの輸出が急増するなか、インフラの不備や煩雑な手続きで輸出が停滞していることを問題視したもので、中央政府にも対応を求める声が上がった。

農産物、輸出できず停滞
ハノイの北東約150キロにあるランソン省では3月以降、ベトナム南部からランソン省経由で中国向けに輸出されるスイカやドラゴンフルーツ、マンゴー、ランブータンなどの果物が、右肩上がりで増えている。最も人気の高い輸出品はスイカで、輸出総額は2400万ドルに達している。

 

しかし、ランソン省人民委員会のヴィー・ヴァン・タイン委員長の報告によると、1日に国境に到着する果物輸送用トラック計500-550台のうち、国境通過の許可が下りる車は260-340台のみ。国境ゲートでは処理が大幅に停滞しているのが現状だという。また、パク・ルオンからパー・フュンにかけての高速道路4号線やドク・クィッからタム・ルンにかけての高速1A号線などでは、輸送車の集中により慢性的な交通マヒも起きている。

タンタイン税関事務所のフン・クアン・ホイ所長によると、スイカの大豊作で輸出が急増し、税関当局がそれに対応しきれないのだという。さらに、中国当局が厳しい検査と検疫措置を求めているためにトラックが4-6時間足止めされる事態となったほか、中越両国の業者間でスイカの価格交渉がまとまらないことも配送の遅れを招き、一部では停滞中のスイカの品質劣化のため、売り物にならなくなった商品を運転手らが放棄しているケースもあるという。

このような事態を受け、ランソン省人民委員会はこのほど、省内に農産物の輸出入を管理するための省庁横断的なワーキンググループを設立した。この組織はドンダン経済区域管理委員会、商工省、交通運輸省、保健省、税関やその他関連機関からなり、午前7時-午後8時まで、国境付近での交通と安全、秩序の維持に関して責任を持つ。さらに、同管理委員会は農産物の輸出入を監視してワーキンググループに報告し、対応措置などの指示をあおぐ。手続きの簡素化なども含め、中国側の税関当局との交渉も試みられているが、ランソンの国境ゲートでは依然として渋滞が解消されていない。

根本的な解決策必要
ランソン省人民委員会のヴィー・ヴァン・タイン委員長は、商工省が中国向け輸出にかかわっている各地方の省庁に、輸出する農産物の付加価値を高めるために収穫後の必要処理を行い、中国向けの商品の輸出量を規制する一方で、国境ゲートでの渋滞を避ける策を探るべきだとしている。「業界団体や各企業は、売買契約を締結する際、商品の品質やタイプ、梱包や配送時間などに関する条文に特に注意を払うべきだ」と警鐘を鳴らす。

長期的な措置として、ランソン省が国境ゲート周辺のインフラ整備を行えるよう、商工省が中央政府に積極的に請願するべきだ。特に農産物の現在の輸出量を保持し積極的な輸出政策を展開するためにも、輸出品の積み替えと加工のためのゾーン設立が早急に必要だ。

ワーキングセッションでは、タイン委員長が「政府は、ドンダンと中国側の広西自治区憑祥(ピンシャン)市との間の国境経済協力ゾーンの設置を認可してもらいたい。将来さらに貿易を活性化するためにも、ハノイからランソンに至る道路の整備と改善も検討してはどうか」と提案した。

これに対し、ヴー・フイ・ホアン商工相は、ランソン省の努力、特に農産物、日用品などの輸出を促進するため各地の国境ゲートでの対応関与を認め、省に感謝の意を示した。さらに今後、果物が収穫期を迎えるにあたり、これらの国境で交通渋滞がさらに頻発すると予測しながらも、「違法な輸出行為を選択する者がないよう、ランソン省が税関を通じた正規の国境貿易を促進し、関係する地方自治体や企業が輸出活動の管理を継続すべきである」と指摘した。

さらに、商工省が農業・農村開発省と連携し、輸出向け農業施策を整えるほか、収穫、農作物の保管、流通など面でも長短期的にさまざまな計画を推進するとした。「特に国境経済協力ゾーンの設置を認可のプロジェクトについては、商工省が政府に提案し、可能な限り、承認や資金獲得の援助に尽力する」とした。