ホーチミン市 交通インフラ整備に投資を加速

ホーチミン市人民委員会は、今後5年間の道路交通関連予算を124兆ドン(約55億米ドル)まで引き上げると発表した。予算総額は2011-2015年の5年間の約3倍。市の予算55兆ドン(約24億ドル)のほか、民間からの出資を交通インフラの整備に活用するという。

写真㊤=交通インフラの整備が進むホーチミン市。民間投資の活用手法も注目される
同市人民委員会のタット・タイン・カン副委員長は、「政府予算だけではインフラ整備計画に必要な莫大な投資額を到底満たすことはできない」と述べ、民間資産の活用促進の必要性を説いた。 統計によると、ホーチミン市は2011年以降、約39兆ドン(約17億ドル)の民間投資を道路関連のインフラ整備にあてているという。

今年完成した事業も多く、ニュー・ロック-ティー・ニェ間の運河めぐりの遊覧船ツアーは、今年9月初旬にスタート。市が、水質汚染のひどかった運河の浄化と周辺の清掃に数100万ドルを費やし、水路の観光資源としての有効利用にこぎつけた。

また、濁った水とゴミの不法投棄に悩まされていたタン・ホア-ロー・ゴム運河沿いの12キロの道も、2兆ドン(約8890万ドル)を投じて生まれ変わった。今ではホーチミン市の6区と11区、タンビンとタンフー地区を結ぶ重要道路となっている。

さらに、タンビンやゴーヴァップ地区、ビンタインなどの地区にまたがり、タンソンニャット空港と国道1号線を結ぶ14キロの道路の完成が、ホーチミン市中心部と周辺各区とのアクセスを格段に向上させた。約3億4000万ドル規模のこのプロジェクトはまた、ディンホー・ボー・リン通りやバクダン通りなどでひどかった市の交通渋滞の低減にも貢献した。ゴーヴァップでのY字型高架道路も今年末には開通予定で、一帯の交通渋滞の約80%は解消されると見込まれている。

ホーチミン市では、計画実施の遅れにつながる赤字予算を避けるために、インフラ整備に民間投資を活用。PPP(官民連携)方式のほか、BOT(建設・運営・譲渡契約)、BTO(建設・譲渡・運営契約)、BT(建設譲渡契約)などのさまざまな形態で、民間からの投資を呼び込んでいる。

建築家で都市計画専門家のゴー・ベト・ナム・ソン博士は、「ヴォー・ヴァン・キエット通りやマイ・チー・トー通りなどの大通りと、高速道路、環状道路などの整備が、ホーチミン市から郊外へのアクセスを容易にしただけでなく、一帯の経済発展も促進している」と分析、ホーチミン市による交通インフラ整備の民間投資活用手法を高く評価している。