中国国境に近いラオカイ省のサパは、標高1500~ 1800㍍に位置し、気温は15~18度。ここは薬草の栽培に適した地で、近年ではアーティチョークの栽培が盛んになっている。国内向けの薬草栽培によって、地元農家は潤い、生活水準の改善がめざましい。アーティチョーク栽培は、収益性の高さから、コメの栽培にとってかわりつつある。

アーティチョークはキク科のチョウセンアザミ属の多年草で、日本名はチョウセンアザミ。食用のほか、古くから薬草としても用いられ、肝機能を高める効果が期待できるとされている。

サパ村では、このアーティチョークが今、最も利益の上がる薬草の一つとして注目されている。マ・ア・シン家はサパ村で最も大きいエリアを持つ農家。ある製薬会社が、この植物の花や葉、根は大きな利益をもたらすといって、シン家の人々に栽培技術を教え、収穫時期には「それを買う」と約束してくれた。「3㌶のアーティチョークは、年間1万3500㌦(約145万円)のお金になった」とシンさんは話す。

アーティチョークは、サパの人々の暮らしにお金をもたらし、貧困から脱するチャンスを与えてくれる。現在、サパでは、70㌶でアーティチョークが栽培され、年間約40㌧を収穫、36万㌦(約3800万円)の収入をもたらしている。

地元に進出している製薬会社のチャファコは、サパでのアーティチョークを買い付けるとともに、最新の製造ラインにも投資している。ド・ティエン・シ・サパ担当ディレクターは、「限られたエリアでしか育たない薬草をいかに増産し、品質向上を進めていくかが課題。現在、マスタープラン策定に向け、企業や農家、科学者、行政担当者との連携を進めている」としている。

サパ地域経済局のチャン・チ・副局長は、「地域では、2020年までに、薬草の栽培エリアを200ヘクタールまで拡大することを目標にしている。増産を進めるなかで、品質維持の点から、地域の人々にはマスタープランに同調するよう呼びかけている」と話している。