ホーチミンに「金細工通り」や「漢方薬通り」設置へ 街ぐるみで観光誘致

観光の活性化に力を入れるホーチミン市はこのほど、金細工店や漢方薬店だけを集めた特色ある通りを増やす方針を固めた。市が「市当局との対話」と名付けられたプログラムで地域とともに検討したもので、さまざまな専門通りの設置と同時に、イベント開催などで観光の魅力アップをはかる。

写真㊤=伝統的な薬草や漢方薬を扱う店=ホーチミン市

4月末に行われた観光促進を話し合う会議で、ホーチミン市5区人民委員会のチョン・ティ・ミン・キエウ副委員長は、金銀製品の販売と、薬草・漢方薬の販売に特化した通りを、ホーチミン市内に設けることを発表した。

ホーチミン市5区には、旧サイゴン市のチョロンと呼ばれる地区があり、ここのニュータム通りやガーチュック通り、ブイフーギア通りなどで1980年代以降、金銀の細工加工場や金銀製品の販売店などが発展し、集中した。

これを目当てに多くの観光客が訪れていることに着目。市では、このような一業種に特化した通りの開設で、観光客の誘致することを計画したのだ。5区の計画では、グエンチャイ通りを世界から訪れる観光客向けのファッションストリートにする考えだ。また、薬草や漢方薬の店を1本の通りに集めることを検討している。

ホーチミン市観光局の統計によると、市の年間収益のうち、毎年80兆ドンが観光業によるもので、これは一帯のGDPの約9%に相当する。ベトナム南部経済圏は、海外からの観光客を年間約700万人、国内からも2500万人の観光客を迎え入れる計画で、観光関連の収益は120兆ドンを見込んでいる。

これらの目的達成のため、同市観光局のブイ・ター・ホアン・ブー局長は、「ホーチミンをより魅力ある旅先にするために、各区当局だけではなく、地域の旅行会社や住民にも、それぞれの役割を果たしてもらいたい」と説明。地元の住民らに、業種ごとの通りに店を集めて行くことへの理解を求めた。また、地区当局などへは、スリや強盗などの件数を減らして社会の安全性を確保したり、食品衛生などの監視を強化したりする必要性を指摘した。

市では、海外でも特にロシア、日本とインドに焦点を当て、観光促進やマーケティングを行う計画だ。

観光促進の会議に参加したホーチミン市人民委員会のチャン・ビン・チュイエン副委員長は、「市の主要な観光商品をさらに発展させていく。また、今後は、毎月何らかのフェスティバルを開催して、観光客を誘致する」とした。案としては、3月にアオザイフェスティバルを開催することや、テト(旧正月)の期間中に、通りを花で飾り付けするイベントなどを検討しているという。