インキュベーション施設運営に参画 ベンチャー育成を支援、ホーチミン市

競争力をもった優れた企業を集め、ベトナムを支える技術拠点になろうと、ホーチミン市が、インキュベーション(孵化)施設の運営や支援に乗り出している。今後の成長が期待される新規事業やベンチャーの支援に本腰を入れるねらいで、大学や既存の大企業などとも連携して事業の芽を育てたい考えだ。

これらの事業は、従来は私企業に任されてきた分野だ。だが、ホーチミン市では起業や新規事業の育成と飛躍がホーチミン市の産業活性化につながるとみて、さまざまな支援事業を打ち出した。

ホーチミン市では現在までに、行政当局の直営や大学傘下の施設のほか、民間部門などを含めて約20のインキュベーターが稼働。市ではこのうち、計86のプロジェクトが展開されている7拠点の支援に乗り出した。

なかでも成功を収めているのがクアンチュン・ソフトウェア・ビジネス・インキュベーションセンターで、ここで創業した企業の約80~90%が目覚ましい効果を挙げている。

また、サイゴン・ハイテクパーク・インキュベーション・センターでは、今年3月までに、さまざまなハイテク機器を商品化する41のプロジェクトの支援を決定。これらの事業の年間売上高は平均で約15〜20億ドルにのぼり、インキュベーションセンターに若者の関心を集め、参加を促すことに成功している。

これまでに、同市内の11カ所のインキュベーション拠点では、2020年をめどとした事業革新や新規事業の立ち上げを検討し、ホーチミン市科学技術省などと支援や協力の協定を締結した。これには、ホーチミン市技術大学技術革新センター(HCMUT-TBI)、農業ハイテクビジネスインキュベーションセンター、ホーチミン技術教育学大学の技術革新・経営学部、科学技術省の「ベトナム・シリコンバレー」事業などが含まれる。これらの事業では、ホーチミン市の財源を活用して支援していく将来性のある起業プロジェクトを選定し、支援していくという。

先月には、情報通信技術(ICT)分野に特化したベンチャー支援組織として、「ICTスタートアップエコシステム実行委員会」が同市によって設立された。委員にはマイクロソフト社のベトナム法人、IBMベトナム、サオ・バク・ダウ、ラク・ベト、クアルコム・ベトナム社、HPTなど、この分野の主要企業21社が参加した。起業コンサルティング活動などにおいて、重要な役割を果たすことを目指す。

組織では、企業間での協力の機会を広げ、大企業と新興企業が共同で事業ソリューションなどを開発できるための交流の場などを創出する考え。実行委員会では、年間約100〜200件の起業や新規事業の立ち上げを支援する計画で、今後、具体的な活動の展開のため、少なくとも20人の支援チームを立ち上げる予定だ。