熟す前の緑色のもち米、cốm(コム)の収穫祭 トゥエンクアン省

ベトナム東北部トゥエンクアン省、ナハン区コンロン村などで、特産品となっている熟す前の緑色のもち米、コム(cốm)が収穫の時期を迎え、収穫祭が行われている。一帯に暮らす少数民族のタイ族にとっては、旧暦8月末の恒例行事だ。


背の高いもち米。熟す前のまだ緑色のものを収穫する

涼しくなってきた秋の今ごろは、収穫の時期だ。また、さまざまな少数民族の文化的な祭りや交流が行われるなど、各民族の団結を強めるシーズンでもある。この時期、トゥエンクアン省ナハン区コンロン村で行われる「コムの収穫祭」も、そんな祭りのひとつだ。


独特の方法で乾燥することで柔らかく、コムが香ばしく仕上がる

この祭りは、豊作を願い、自然や祖先への感謝を込めた習慣で、長い伝統と歴史をもっている。祭りは、民族の伝統的な文化価値を維持し、人々の豊かで幸福な繁栄と生活をかたち作っている。


木の棒で米をつく伝統的な手法で、米とモミガラを分離する

もち米は、3~4回、木の棒でついた後、ザルに入れて揺り動かしてモミガラを吹き飛ばす。食べ方は、おこわのように蒸す調理法がもっとも一般的だが、バナナやベトナム独特の甘いデザート「チェー」といっしょに楽しむこともある。また、豚肉のハムと混ぜてもち米と豚肉のハムを作り、おこわととともにおかずとして食卓にのぼるなど、さまざまな食材の原材料としても活用される。

コムは、トゥエンクアン省などの特徴的な食べ物だが、今ではハノイでもよく食べられる。老若男女を問わず、ベトナム人の大好きな“ベトナムの味覚”となっている。