太陽光発電へ投資呼びかけ=ホーチミン市、対策に本腰

ホーチミン市は、大きな潜在力のある太陽光発電事業への投資を広く呼びかけている。地方当局の統計によると、市は、1日に1平方メートル当たり4.3~6.6kWhという強い日射量を得る場所に位置するため、太陽光発電を発展させるチャンスがあるというのだ。

写真㊤=バリア=ブンタウ省のコンダオ島にある太陽光発電所(写真:VNA)

太陽光発電システムのパイオニアであるホーチミン市電力会社(The HCM City Power Corporation)は、市内4か所に太陽光発電所を設置しており、トータルでの発電設備容量は226kWp(キロワットピーク)。同社は年末までに、15のオフィスの屋根に太陽光発電送電網を設置する計画で、この設備では計約800kWpの発電が可能だという。また将来的には、220/110kVの発電所だけでなく、同社が持つ他の設備の送電網に接続した太陽光発電を導入する計画もある。

ホーチミン市電力会社のファム・コック・バオ副総裁は、「太陽光発電システムを導入すれば、建物の一部の電力需要に応えられるため、建物の運転コストも節約できるだろう」と述べた。さらに、「2011年以来、当社は、カンゾー県タインアン地区のティエンリエン(Thieng Lieng)村の172の世帯に対し、月間11,500kWhの電力を供給する太陽光発電システムに投資している」とも付け加えた。

バオ氏によると、かつて企業や投資家は、太陽光発電への投資に消極的だったという。しかし2013年以降、市内の発電設備容量は急速に増加し、2013年には200kWpだったのが、15年には1MWp、そして今年7月には3MWpにまで増加した。太陽光発電の使用を促進するために、同社はホーチミン市に対し、継続的なキャンペーンなどを通して、住民の太陽熱温水器の使用や送電網に接続した太陽光システムの導入を促すよう要請している。

一方、ホーチミン市としては、太陽光発電設備を建物へ設置する際の指導、とりわけ輸出加工区や工業地帯、ハイテクパーク、省機関への指導を進めなければならない。加えて、市は、太陽光発電システムを導入する住民や企業へのサポートとして、その方針やインセンティブを明らかにする必要もある。

2017年6月に、太陽光発電プロジェクトを推進する決定が発効したことで、将来、より多くの企業が、太陽光発電事業へ投資すると予測されている。この決定の下、太陽光発電プロジェクトによって発電された電力は、1kWh当たり2,086ベトナムドン(約9.3米セント、VAT除く)で買い取られる予定で、投資家にも有益なレートである。

こうした価格は、VND/USDの交換レートに沿って調整され、セル効率が16%以上、もしくは15%以上の生産性モジュールを備える、送電網に接続した発電プロジェクトに限って適用される。

ベトナムの太陽光発電プロジェクトに参画する投資家は、土地、投資資本、法人収入、輸入税率に関する様々なインセンティブを受ける資格がある。この決定は、事業に関心のあるより多くの投資家から、資金を引き寄せることが目的だ。

というのも、ベトナム計画投資省外国投資庁によると、昨年末時点で、外資系の次世代エネルギープロジェクトは16しか稼働しておらず、登録資本金は計7億7800万ドル。その中でも太陽光発電への投資は18%にすぎなかった。今回の決定によって、投資家、とりわけ海外の投資家が、自身の太陽光発電事業を拡大しやすくなるのではないかと期待されている。

昨年、ホーチミン市では約3,575MWの電力を消費したが、そのうち再生可能エネルギーは3.96MWで、0.1%にすぎなかった。市は、2020年までに、再生可能エネルギーの使用割合を1.74%(96MW相当)にまで拡大させることを目標にしている。

 2015年以降、ホーチミン市は、家庭での電力使用や国の送電網への売電を目的に、1kWh当たり2000ベトナムドンの補助金を支給することで、住民や企業に太陽光発電システムへの投資を奨励している。