ベトナム南部、メコンデルタ地帯のロンアン省のフックロン工業団地は、同省の中でもとりわけ先進的な工業団地の一つだ。整ったインフラ、優遇策…。中でも際立っているのが立地条件の良さで、省都のタンアンから14㌔、ホーチミン市から25㌔、タンソンニャット国際空港から23㌔、ベトナム鉄道のサイゴン駅から22㌔、バーボン・ベンルック港から3㌔に位置。こうした陸海空の交通の便を最大のセールスポイントにしている。

ベトナムを南北に貫く国道1A号線の通るベンルック地区に広がる同工業団地は、総面積79㌶。運営に携わるフックロン社は、中小の投資者向けの600平方㍍の区画を中心に誘致を進めてきたが、区画の規模は出資者の意向に沿って大きくすることもできる。土地は国有地で、破たんなどの財政的なリスクも低いとし、工場の建設費の見積もりをサポートするため地質調査も行っている。

写真㊤=ホーチミン市などに近い交通の便の良さが魅力のフックロン工業団地

同工業団地のエリアでは、国道1A号線に沿った送電網が整い、工場設備に十分な中圧の電力を供給。また、1日当たりの処理能力が5200立方㍍の下水処理施設を備え、同省天然資源環境局と接続する下水処理水水質検査自動モニタリングシステムも導入している。


フックロン工業団地の下水処理施設

利用者の利便性をアップするため、ATMやコンビニエンスストア、宿泊施設などの誘致や整備も進めてきたほか、行政手続きや関税事務や求人募集や、工場設計や器材準備のサポートやコンサルティングも行っている。

ホーチミン市とベンルック町の中間に位置するロケーションは、高度なスキルを備えたホーチミンの技術者や、手工業に強いメコンデルタ地帯の労働者を求人するのにも適している。こうした地の利だけでなく、人材育成会社のエスハイやブレインワークス、ロンアン職業訓練大学やロンアン経済技術高校とも連携して企業と人材のマッチングもサポートしている。

同社は、「工業団地の建設は、ひどく複雑なプロセスの連続だが、われわれは非常に注意深く、進出企業の投資に見合う環境作りに力を入れてきた。進出企業や国も多彩で、工業団地内には、日本企業向けの特別区のほか韓国の鉄鋼業、中国や台湾の繊維関係、皮革関係に特化した区域もある」としている。同社と同社に出資するTVPスチール合資会社は、収益の一部を地域のコミュニティー活動や貧困層の救済、貧困家庭の子供たちの奨学金に寄付している。