ホーチミン市の公共バス、配車サービスの台頭で乗客数減少

ホーチミン市の公共バスは、次々に登場する新しい配車サービスとの競争により、乗客数が減少している。今年最初の4カ月間は、前年同期比で8.9%減少するなど、その影響は深刻だ。

写真㊤=ホーチミン市の公共バスは、配車サービスとの競争により乗客数が減少している(写真:Shutterstock)

同市は報告書で、「GrabやGo-Viet、Beなどの配車サービスがバスの競合となり、近距離を移動する乗客を引き付けている。これらのサービスは柔軟で、価格にも競争力がある」と指摘した。

価格に関しては、バスの運賃は5,000~6,000ドン(約23~28円)だ。一方、バイクタクシー配車サービスのGrabBikeは割引後の価格で、2kmを1万2000ドン(約56円)で提供。さらに、Go-Vietは、キャンペーン中であれば近距離が5000ドン(約23円)以下という破格の安さを売りにしている。

また、自動車配車サービスでは、国内発のFastGoが、5kmを2万5000ドン(約116円)で提供し、シンガポールの配車アプリTADAは2万~5万ドン(約93~232円)まで値下げしている。

同市の運輸局は昨年、「バスの乗客数は3%減の5億7100万人で、年間目標を10%下回った。バイクタクシーの配車サービスが、バス会社の収益に影響を与えた。また、7つのバス路線が大きな打撃を受け、運行を停止した」と述べた。

500台のバスを保有する大手バス会社のサイゴンバスは、2018年の年次報告書で、「定期的にプロモーションを行う配車サービスの台頭によって、多くの顧客が公共交通機関から離れていっている」と懸念を示し、370億ドン(約1億7000万円)の損失を計上したと発表した。取締役会は今年、144億ドン(約6700万円)の税引前利益を目標にしている。