ホーチミン市、行政手続きの完全デジタル化に向け前進

ベトナム南部最大の都市、ホーチミン市が、行政機関やデータベースなどの電子化によって、一カ所で全手続きを完結させられる「行政サービスのワンストップ化」の実現に力を入れている。行政改革やIT技術の導入などでさまざまな行政手続きを簡素化し、将来的な電子政府構築に向けて、大きく前進している。

ベトナムは、先月、日本との間で電子政府分野における協力に関する覚書に署名し、全国的に行政サービスなどのオンライン化を進めているが、中でもホーチミン市は進度が速い。現在、オンラインで公共サービスが行なわれているのは、同市の322の区、地区と町。これらの措置に対する市民の満足度調査も、部門や地区ごとに定期的に行っている。

ベトナムでは行政手続きのオンライン化を、ネット経由での情報入力が「レベル3」、オンライン決済の実現が「レベル4」などと分類しているが、ホーチミン市ではこれまでに、レベル4が375項目、レベル3は1140項目でオンライン化を実現した。

行政のペーパーレス化を目指した政令にもとづき、同市はすべての書類の電子化も進めている。市職員は、会議や打ち合わせなどのさいには、資料の閲覧に、支給されたタブレット型端末を活用=写真㊤。ホーチミン市人民委員会のチャン・ビン・チュイエン副委員長は、「タブレットの活用によって、時間が有効に使え、各職員の情報へのアクセスも容易になった」と評価する。2018年1年間の印刷費用だけでも、200億ドルもの経費が節減できたという。

ワンストップサービスの側面からみると、一カ所でまとめて行なえる省、各行政組織、市人民委員会への申請などが、40の項目にまで増えた。さらに、市はさまざまな公的機関でのIT導入を促進。これにより、行政管理職や職員間での対話が増え、サービスなどの向上につながっているという。

今後、ホーチミン市は電子政府をさらに発展させ、行政組織間での情報共有などを進めるとともに、全国各地のデータベースとのネットワーク化にも力を入れる。その先駆者的として、ホーチミン市人民委員会も、2025年までの完全デジタルを実現させる計画。市行政の完全デジタル化の前段階として、短期的には、市内のすべてのデータベースを電子化にするという。