チーラン県のカスタードアップル、中国市場への輸出を目指す

北部山岳地帯のランソン省にあるチーラン県は、カスタードアップル(牛心梨:ギュウシンリ)と呼ばれるフルーツの産地として有名だ。生産者は、国内販売とともに、公式な貿易ルートを通じた中国への輸出拡大を狙っている。

写真㊤=輸出拡大を狙うチーランカスタードアップル(写真:VNA)

チーラン県では、1600ヘクタール以上の耕地でカスタードアップルを栽培している。2019年の総生産高は16000トンを超えるとされ、売上高は6000億ドン(約28億円)に達すると予想される。そのうち、およそ200ヘクタールの耕地では、VietGAP基準(ベトナムの適正農業規範)に適合した栽培を行っている。

ランソン省のカスタードアップルの生産者であるド・ティ・ミーさんは、「VietGAP基準に従うことで、果物の生産性と品質が向上し、1キロ当たり3万~5万ドン(約140~233円)で販売できるようになった。これは以前の1.5倍の価格だ。さらに、大ぶりで品質が良いものは、7万~8万ドン(約326~372円)で販売できる」と話す。ミーさんの世帯の1800平方メートルの農園には、600本のカスタードアップルの木が植えられている。今年は10トンを収穫できる予定だ。

ミーさんの世帯では今年、カスタードアップルで3億~5億ドン(約140万~233万円)の収入を見込んでいる。ただ、ミーさんは、「チーラン県のカスタードアップルを遠方の大きな市場に届けるには、大手のトレーダーによる販売が必要になる」と課題も語った。

果物栽培で生計を立てる世帯は、チーラン県に3500ほどある。地方当局も農家の市場拡大を支援しており、2017年から毎年、チーラン・カスタードアップル・フェスティバルを開催するほか、ハノイで行われた農産物ウィークにも参加した。

この2つのイベントは、今年8月11日から21日にかけて、チーラン県とハノイで開催された。チーラン県人民委員会のディン・フゥ・ホック委員長は、「このイベントは、チーランカスタードアップルの生産に尽力した組織や個人を称える目的で行われた。農家や協同組合、そして企業に、市場を拡大する機会を提供している」とその背景を語る。

県人民委員会はイベントの中で、農家や関係機関に対し、メディアを通じてカスタードアップルをPRするとともに、品質を改良し、ハノイやホーチミンの主要なスーパーマーケットに届けるために原産地トレーサビリティ規則に応じた生産を行うよう呼びかけた。

さらに、県人民委員会は、ランソン省が、チーランカスタードアップルを公式な貿易ルートで中国へ輸出するために、農業・地方開発省と商工省が中国側と交渉するよう提案してほしいと考えている。生産者に対しては引き続き、カスタードアップルの輸出に向けて、生産性と競争力の強化を図るとともに、安全な有機栽培手法を採用して、原産地トレーサビリティと表示の規制の遵守を求めていく。

ホック委員長は、「チーランカスタードアップルを、国内だけでなく海外でも愛されるブランドにするよう努力していく」と語った。