目指せ「金融の国際ハブ」 ホーチミン市が構想実現を表明

ベトナム最大の経済都市であるホーチミン市が、本腰を入れて国際金融の世界的拠点を目指すという。同市内で先日開催された「経済フォーラム」で、同市人民委員会のグエン・タイン・フオン委員長らが、「世界とアジアの金融ハブ拠点を目指す」とのホーチミン市の構想を明らかにした。

フォーラムでは、フオン委員長が講演。「金融関連の投資を誘致するために、あらゆる手を尽くしていく」と意気込みを語った=写真。

同じく出席したブー・ズック・ダム副首相も、「ホーチミン市は、ベトナムの社会経済をけん引する動力だ」と、その重要な役割を強調した。さらに、同市がアジア地域、さらには世界の金融ハブへと成長することが、「ホーチミン市の悲願であると同時に、ベトナム国民全体の共通目標でもある」と支援の姿勢を見せた。

フオン委員長は、「大都市の経済成長を後押し、社会的資源を活用するためには、金融市場を活性化させることが重要だ」と説明する。

世界的にみても、大都市の成長が金融市場に基礎を置いた成長モデルをたどっているのは明らかだ。ニューヨーク市では、金融業界の売上高が、同市経済の46%を占める。その割合は、ロンドンでは約42%、上海が27%、シンガポールで29%と、国際都市へと成長するためには、国際金融ハブの形成が不可欠となっているといえる。

ホーチミン市は2001年以降、発展を目指す9つの主要経済分野のひとつに、金融市場を盛り込んできた。だが、まだ同市の金融経済は国際水準に達しておらず、国際金融ハブになるための道のりは険しい。

ホーチミン市人民委員会は、アジア地域と世界の金融ハブを目指すための具体的な計画を、来年6月、政府に提出すると明言。計画は政府の重要国家計画に盛り込まれる見込みで、フオン委員長は、「実現すれば、ホーチミン市の国際金融ハブ化を実現するための足掛かりになる」との期待を示した。

地元関係者らも、「金融関連の投資を誘致するために、あらゆる手を尽くす」と協力の姿勢を見せる。フオン委員長は、「市当局としても、社会政治環境を安定させ、投資家が適正な利益を確保し、金融機関が安定的、長期的に運営できるよう全面的に支援する」と約束した。