進むハノイの行政電子化 課題は市民周知 クイズや授業など子ども経由で情報発信

ベトナムの「行政改革指数(PAR指数)」で、行政施策の電子化が高く評価され、首都ハノイ市は63ある全国の直轄都市や省のなかで2位となった。行政機関やデータベースの電子化で手続きが簡略化できる「行政サービスのワンストップ化」を市民により広く周知するのが課題となっており、教育機関との連携や、街角でのクイズ大会でのPRなど、ユニークな情報発信を始めた。

ベトナム共産党中央委員会によると、2018年度のPAR指数でのハノイ市の総合得点は83・98%。ハノイ市は、行政手続きに関して、各地域当局との連携を積極的に行っており、これが行政手続きの大幅スピードアップにつながったという。同市が進めてきた行政改革は、地域事業を成功に導き、海外資本による投資を引き付けてきた。また、行政手続きにおける個人や団体、企業などの時間と労力の大きな節減にもつながった。

ハノイ市情報コミュニケーション局によると、今年上半期の終わりごろには、オンラインでの行政手続きのワンストップ化は、22の部局と分野で採用され、ハノイ市内の30の行政区と584の町村に利用が拡大している。現在、ネット経由での情報入力が可能な「レベル3」と、決済までオンラインで行える「レベル4」の行政手続きが合わせて1321種にのぼり、全行政手続きの75%に達した。

だがこれでも、国際水準には達していない。課題を克服するため、市では管理能力を向上させるとともに、より抜本的な行政改革措置を講じるよう、関係当局に要請している。

特に力を入れるのは、より多くの人が簡単にサービスを享受できるよう、情報周知を行うことだ。例えば、市は「オンライン行政サービス学習イベント」を企画し、各分野でオンライン提供される行政サービスについて、街なかで啓発する活動を始めた=写真㊤。イベントでは、クイズ形式で、オンライン登録に必要な書類を画像で添付して役所に送る手法などを、わかりやすく市民に伝え、行政手続きのオンライン利用を促した。

また、ハノイ市人民委員会は、市教育訓練局とも協力。学生や生徒に、オンライン行政サービスについて学ぶ授業を展開するよう要請した。児童生徒ら経由で、保護者や大人に伝えようという作戦だ。また、オンラインで行える行政手続きについて周知する広告も打ち出し、ベトナム語とともに英語でも広報冊子を作って配布している。

首都ハノイでは、行政改革を市の政治的任務の最重要課題ととらえおり、さまざまな手続きの電子化が、市当局と多様な組織や団体、個人の市民らとの間をより速く結ぶ情報チャンネルの構築につながり、市の行政がより透明性をもつことになると期待している。