ホーチミン、AI人材育成へ積極投資=国はイノベーションセンター創設へ

■高い潜在力
「ホーチミン市は近い将来、人工知能(AI)の研究開発拠点となるべく計画を進めている」。ホーチミン市人民委員会のズオン・アイン・ドゥック副委員長は、科学技術省との会談でこのように述べた。

写真㊤=ホーチミン市科学大学の学生は、交通量に基づいた高度な「信号機システム」を研究している

同市人民委員会のメンバーはこのほど、ブイ・テ・デュイ科学技術副大臣と会談し、国のAI戦略と2020年のAIフェスティバルの実施について協議。ドゥック副委員長は、AI分野で人材投資を行い、科学技術省と協力していく考えを示した上で、「市の担当部局は、AI開発計画を支援する準備ができている」と語った。

また、デュイ副大臣は、「科学技術省は、交通、物流、観光、Eコマース、通信、教育、都市管理、社会管理、行政に焦点を当てた国のAI戦略の草案を作成した」と明かした。

草案では、国内に3つのAIイノベーションセンターを創設することを提案し、そのうちの1つはホーチミン市に建設が予定されている。同市には、大学や研究機関、関係組織が集積しており、人口や企業数も多く、貿易はさかんだ。

こうした高い潜在力に加えて、同市では、研究者と企業との密な連携、市当局からの支援を含む「AIエコシステム」の形成に力を入れている。

現在、市内の大学や研究機関で約30のAI開発計画が進んでおり、AIの専門家、研究チーム、アプリケーションに関するデータベースが構築されている。また、AI研究の連携・応用分野のメンバーによる委員会も結成されつつある。

■主要分野へ成長期待
同市情報通信局は、人民委員会に対し、2020年から10年間のAIの用途開発における研究計画を提出した。計画では、迅速で持続可能な経済発展のための創造的なスマートシティの建設において、AIはコア技術になるべきだとしている。

この計画は、AIをデジタルトランスフォーメーションのキーテクノロジーとすることを目指している。AI産業は将来、市の主要な経済分野の1つに成長するだろう。

国のAI戦略によると、市はAIの研究開発や技術移転を行う国の中心地となり、ASEANにおいてもAI開発をけん引する都市の1つとなる。そのために同市は、AI企業やブランドづくり、製品、用途開発に対し資金を投入する。

同市人民委員会と科学技術省は、ベトナムAIフェスティバルについて、11月24~28日に予定されている市のイノベーション・スタートアップ・ウイーク期間中の同月27、28日に開催することで合意した。