開発遅れるハノイ・ホアラックハイテクパーク、インフラ整備に課題

ハノイのホアラック・ハイテクパーク(HHTP)は、ベトナム科学技術省が運営する3つの国家ハイテクパークの1つだが、稼働率や投資誘致状況、輸出入総額は依然として低いままだ。

■入居率は約3割
HHTPは、ハノイ市中心部から西へ約30キロの場所にあり、総面積は1586ヘクタール。だが、現在までに成約したのはわずか約240ヘクタールであり、入居率は3割程度に留まっている。

2019年以降、新たに8件のプロジェクトが投資ライセンスを取得し、登記資本金は14兆ドン(約642億円)を超えた。同パーク設立からの誘致件数は94件で、登記資本金の総額は約89兆3000億ドン(約41000億円)。このうち51件はすでに稼働しており、過去5年間の輸出入総額は40億ドル(約4270億円)を超えている。

現在、同パークで開発・製造されるハイテク製品には、米クアルコム社と協力してビンスマート社が製造する5Gスマートフォンや5G関連機器、韓国のハンファ・エアロスペース社が製造する最先端の航空機エンジン部品などがある。

しかし、こうした成果の一方で、同パークでは開発の遅れが指摘されている。HHTP管理委員会のチャン・ダック・チュン副会長は、「交通機関が限られていることや、用地整備やインフラ建設の遅れなどが原因で、開発が思うように進んでいない」と語った。

■首相、鉄道整備に言及
HHTPについてチュー・ゴック・アイン科学技術相は、「1998年に設立されて以来、用地整備にほとんどの時間を費やしてきた。二十数年を経て、企業間のエコシステムが具体化し、メイド・イン・ベトナムの製品を生産する準備が整った」と述べている。

HHTPは現在、大学や研究プロジェクト、国から財政支援を受けた企業など、パークへの投資案件を選定している段階だ。同パークの目的の1つは、国の社会経済発展に貢献する新しいハイテク技術を考案し、スキルを持った人材を労働市場に提供することである。

7月10日、ハノイ市党委員会のヴォン・ディン・フエ書記が同パークを訪問し、HHTP管理委員会に対しインフラ投資を拡充するよう要請。フエ書記は、科学技術省とハノイ市人民委員会が協力して、ハイテクパークの完成に向けて、用地整備等の課題を速やかに解決するよう求めた。

さらに、管理委員会に対しては、国内外の企業が投資しやすいように手続きの改革を行うとともに、最先端の研究活動に注力して人材を育成し、スタートアップ企業のためのエコシステムを構築するよう強く促した。

フエ書記は、グエン・スアン・フック首相が、ホアラックの都市計画をハノイ最初の5つのサテライトタウンの1つとして承認し、ハノイ市とハイテクパークを結ぶ鉄道を整備する計画があることを明らかにした。そして、「そのためにも、ホアラック・ハイテクパークはこの機会を利用して、より多くの投資を呼び込まなければならない」と述べた。

また、科学技術省は、HHTP管理委員会に対し、2030年までの投資計画戦略を策定するよう指示した。