ソンラ省、科学技術の応用で農産品の収穫量アップ

ベトナム西北部のソンラ省では、花や野菜、果物の栽培に積極的に科学技術を応用し、数十億ドンの収入を上げている。同省では、灌漑制御や農業用ハウスの管理にスマート技術を採用して、農業生産をさらに高めていきたい考えだ。

写真㊤=生産性の低い作物に代わって、傾斜地で果物を栽培する

■高品質なリュウガン生産
ソンラ省科学技術局のファム・クアン・アン局長によると、西北部の省は、土地環境や気候の面で農業開発に適しており、政府も農業へのハイテク技術の応用に支援を行っている。

具体的には、ソンラ省では近年、傾斜地に生産性の低い作物に代わって果樹を植える研究に力を入れており、例えば、同省ソンマー県では、VietGAP基準(ベトナム版の適正農業規範)に適合した高品質なリュウガンの生産に成功した。この栽培計画は、ソンラ省のマイソン県、イエンチャウ県でも行われており、栽培面積は数ヘクタールから4000ヘクタールにまで拡大され、1ヘクタール当たり2億~3億ドン(約91万~137万円)の収入を得ている。ソンマー県のリュウガンには、認証マークが付与され、米国や中国などの主要市場に輸出するための輸出エリアコードも発行されている。

また、マイソン県では、1ヘクタール当たり20トンのドラゴンフルーツを生産している。これらは1キログラム当たり3万ドン(約137円)で販売され、売上高は1ヘクタール当たり2億~3億ドン(同上)となる。栽培計画の成功を受けて、同県では、ドラゴンフルーツの栽培面積を拡大したほか、VietGAP基準に沿ったドラゴンフルーツを生産するための協同組合も設立した。現在、ドラゴンフルーツは133ヘクタールで栽培され、404トンの生産量がある。

こうした栽培技術を開発したのはトロピカルフラワー社で、同社の技術によって、VietGAP基準に適合した野菜や高品質な花の生産が可能になり、150人以上の労働者に安定した雇用と高い収入(月平均1人当たり500万~600万ドン:2万3000~2万7000円)をもたらした。現在同社は、花栽培に投資しており、1ヘクタール当たりの年間収入は約15億~20億ドン(約687万~916万円)に上る。

■灌漑、ハウスにスマート技術を
ソンラ省科学技術局は、農業生産や有機農業、バイオ農業への科学技術の応用に力を入れている。「その中には、省独自の農産品の保存・加工への新技術も含まれ、灌漑を制御するためのソフトウエアの活用、農業用ハウスや温室へのスマート設備の導入なども含まれる」とアン局長は強調する。

加えて、同省は関係部局や県、市の人民委員会と連携して、科学技術の課題を策定し、研究成果を公表するほか、各部門間のネットワークを強化して情報交換を行っている。

現在、省の科学技術に関する案件の70%が、実際に現場で導入されており、農村や山間部の社会経済発展に大きく貢献している。