クアンイエン沿岸経済区の設立承認 クアンニン省、北東部発展の原動力に

チン・ディン・ズン副首相はこのほど、ベトナム北東部クアンニン省に、クアンイエン沿岸経済区の設立を承認する首相決定に署名した。同経済区は今年5月、経済区の国家整備計画に、新たな候補地として追加されていた。

同経済区はクアンニン省の南西部のクアンイエン町にあり、北部最大の港湾都市であるハイフォン市に接している。計画によると、クアンイエン経済区は総面積が1万3303ヘクタールで、機能別に2つのエリアに区分わけされる。6900ヘクタールのダム・ニャー・マック地区は、港湾サービスと工業地域の役割を担い、残る6400ヘクタールは都市機能を持たせたハイテク地区とする。

クアンイエン沿岸経済区の発展目標は3つある。

一つ目は、国内の他の経済地区と、経済、貿易、サービスなどの接続を促進することだ。国際空港が開設されている近隣のバンドン(クアンニン省)のほか、ハイフォン市には工業団地が集積するデインブー、カットハイの経済区、同市南にはタイビン沿岸経済区などがあり、これらを結ぶ社会経済的な拠点となることを目指す。一帯への投資は、国家の防衛や安全保障政策を遵守し、海洋環境や近隣の歴史的文化財の保全方針と合致するものでなければならない。

第二の目標が、同沿岸経済区をクアンニン省だけでなくさらに広い紅河エリアの工業・サービス・物流の一大拠点に育て上げることだ。そのために、技術や社会のインフラ整備を進め、同時に、ハイテク産業、環境配慮型の産業を集積し、この分野での研究開発拠点を誘致するという。

決定書では、これら2つの目標は、第3の目標である、労働者の質の向上、収入の増加、雇用機会の提供と並んで実現されなければならない、とされた。

決定は今年11月15日に施行され、クアンイエン沿岸経済区で始動するあらゆる開発計画には、規模や雇用者数にかかわらず、経済区の特別税制が適用されることになる。これで同沿岸経済区とクアンニン省への投資環境が大きく変わることから、国内外から一帯へ、より多くの投資が流入することになりそうだ。

沿岸経済区の設立を前に、すでに多くの投資家がこの計画に大きな可能性を見出し、その恩恵を享受するために、長期的なビジネス進出計画を作り上げている。ベルギーの港湾開発大手「Rent-A-Port」社などが展開し、日経企業なども多く進出する「ディープシー(DEEP C)工業団地」などがその実例だ。

ディープシー工業団地のブルーノ・ジャスペール社長は、「投資先を求める顧客が最も重要視するのは、他地域との接続性のよさと税制上の優遇措置だ。クアンイエン周辺はいくつもの巨大プロジェクト実施によって、ベトナム国内だけでなく海外との接続性も、大きく改善された。税制の優遇措置も取られることになり、二つの条件を満たす優良な投資先になるだろう」と期待を示した。

同社は、クアンイエン沿岸経済区内にあるバック・ティエン・フォンとティエンフォンの2つの工業団地に出資しており、両工業団地は通称「ディープシー・クアンニン」と呼ばれていた。クアンイエン沿岸経済区内のダム・ニャー・マック地区のうち、1680ヘクタールは、このディープシー・クアンニンが占有している。

「クアンイエンは、単なる工業団地以上に立地がよい。境界がなく港湾と一体となった工業エコシステムへと進化させたい」と、ジャスペール社長はディープシーを工業地区、港湾とそれらに付随する複合サービスの拠点へと進化させる将来像を明かした。その第一歩として、来年にはディープシー工業団地内に計15万平方メートルの工場群が建設され、操業が開始される予定だという。

今回の経済区承認で、クアンイエン経済区には、税制上のインセンティブ、アクセスの利便性に加え、政府支援も加わり、投資決定に必要なあらゆる要素がそろった。投資環境をさらに整え、進出企業が迅速に製造に入ることができるようなインフラ整備を準備するために、クアンニン省は、経済区内の工業インフラの基準をさらに洗練される方針で、その目的のためにディープシーのような経験あるデベロッパーの参加を求めている。

今後、これらの協力企業で、クアンイエン経済区は目指す「先端技術と環境配慮に強い経済区」になるだろう。同時に、「ハノイ、ハイフォンとクアンニンを結ぶ広大な経済区の発展の中核的存在になる」という、クアンイエンの重要な役割を実現することにも、大きく寄与するとの期待が高まっている。