ハノイから北へ約75㌔。車で2時間ほどの距離にあるタイグエン省は、高品質の緑茶を生産するお茶の名産地として知られる。山間部の谷あいにのどかな農村が広がり、博物館などもある。お茶好きの人なら、ぜひとも訪れてみたい場所だ。

同省は国内最大のお茶の生産地で、栽培面積は2万2000㌶、年間の茶葉生産量は約22万㌧に上る。お茶は国内だけでなく、海外にも輸出される。その中心地がタン・クオン村だ。中部山間部の谷あいに点在する平坦で肥沃な土地が、お茶の栽培に適しており、火山岩と沖積層砂石などによって形成された土壌が、独特の香りと味わいを生むという。

タン・クオン緑茶は、フランスのシャンパンのように、その地域で産出されたものしか名乗ることのできない地理的表示保護(Protected Geographical Indication 略称PGI)に登録された国内に2つしかないお茶の一つでもある。まさに、たぐいまれな土地と気候が生んだベトナム有数の銘茶と言える。

地域の農家とともに食事をしたり、お茶の製造工程やお茶博物館を見学したり、サイクリングをしたり…。旅の楽しみも、さまざま。お茶好きなら、旅先の候補に加えておきたい場所だ。

ベトナムのお茶は、他のアジア諸国と同様、歴史が長く、地域文化に深くかかわっている。最近は、若い人を中心に、コーヒーがポピュラーになり店も増えてきたが、家庭では今でもお茶が一番よく飲まれている。