ホーチミン市、全公共サービスをオンライン化へ 2030までに電子決済可能の「レベル4」目指す

ホーチミン市は、2030年をめどに、すべての公共サービスのオンライン化する。画面上での申請情報の記入などにとどまらず、決済に至るまですべて電子上で完了できるデジタル化の最高レベル、「レベル4」を、全サービスで実現することを目指す。

ホーチミン市は、ベトナム国内でももっとも行政サービスの電子化が進んでいる地域のひとつ。行政手続きのオンライン化を加速する同市当局は今年第1四半期、ネット経由での情報入力や申し込みなどが行えるデジタル化「レベル3」を、668種の行政サービスについて実現した。また、一部のサービスについては、すでに電子決済が可能となる「レベル4」も達成できた。

ホーチミン市の内務局によると、市や地区単位の行政区は、過去5年間で3400万種以上の文書をオンラインで扱ったという。これは、年間平均1600万種のオンライン文書の取り扱いで、これによって作業効率は向上し、期限内に97.5%の文書の処理が完了された。書類や部署によっては期限内の処理達成率は99.9%を達成したという。

また、2017年以降、行政文書の処理にかかる時間そのものも30~50%削減された。
このような動きに対して、行政が行ったアンケート調査では、住民や地域組織などの約80%が、市当局のデジタル化について「満足している」と回答している。

同市が公共サービスのオンライン化を進めるのは、電子化による行政手続きの簡略化が、ホーチミン市のデジタル経済の発展を大きく加速させると期待するからだ。ホーチミン市人民委員会によると、同市のデジタル経済は、2025年には同市の域内総生産(GRDP)の25%を占めるようになる見込みだ。さらに、2030年までには、域内総生産の約40%にまで成長すると期待されている。

一方で労働生産性は毎年、少なくとも7%ずつ改善され、地元の企業や住民が電子決済用の口座を所有する割合は60%に達すると予想される。さらに市では、オンライン化を進めるために必要な4Gや5Gを使った移動端末やスマートフォン用の通信網拡大にも力を入れており、市民による電子行政サービスの活用と電子決済の拡大を押し進めていく方針だ。