ハノイ市が中小企業の支援拡充へ 女性の雇用創出も

首都ハノイが、2021~2025年にかけて、毎年3万社の新規企業設立を目標として決定した。ハノイ市人民委員会が新たに採択した「2021~2025年 中小企業支援策」の実施で中小企業を拡充することで実現を目指す。家内制工業の企業化や女性の雇用創出などを、ハノイ市の経済成長の起爆剤にも活用したい考えだ。

支援策は、ハノイ市の政策改革を実現し、同市の地方自治体としての競争力と地位を向上させるのがねらいとされた。具体的には、年間10%の経済成長率達成と3万社の新規企業の設立を目指す。また、1500万人の新規雇用の創出や、ハノイ市の生産額の25%を輸出できるようにすることも目標に設定した。

中小企業の支援では、特に、市の主要産業育成戦略と経営方針が一致する企業や、同市の基準に適合する優良企業などを優先的に支援対象として選出する。また、女性の社会進出の支援と、活躍の場を増やすねらいから、女性が運営する企業や、多くの女性従業員を採用している企業も、手厚く支援していく考えだ。

具体的な内容としては、小規模な家族運営の事業所から企業へと事業転換した中小企業に対し、分野横断的なネットワークやサプライチェーンなどに加われるような支援を展開する。技術情報や電子、工学、ハイテク農業、食品加工や農産物保存など分野を中心に、約500社の中小企業が恩恵を受けると予想される。目標達成のための総事業費は9570億ドンとなる見込みで、このうち8320億ドンは、ハノイ市が独自の財源を確保する。

企業の持続可能な発展を確実にするために、ハノイ市は各部局に対して、企業が貿易活動や製造などにおいて直面する課題にすばやく対処し解決策を提案するよう要請。さらに、特に女性が運営する中小企業を対象に、支援事業や政策を手厚く展開し、企業に知識や運営ノウハウなどを伝授すると同時に、人材育成の支援などにも予算を割くよう求めた。

北部経済圏の成長の原動力であるハノイ市は、企業の経営状況や投資環境を整備し、これまでも、経済発展を後押しする土壌の形成に力をいできた。これらの対策には、行政改革の実施▽企業設立にかかる時間の短縮▽事業登記のオンライン化促進▽新規設立企業の支援展開▽企業競争力の改善と市場発展の強化―などが挙げられる。

この結果、近年、ハノイでは新規企業の設立数が大幅に増加。2016年から2020年にかけての新規企業設立数は、延べ11万2000社にのぼり、増加率は年平均9.7%に達し、総企業数は約29万2000社となった。特に新規設立が多かったのが2019年で、この1年間だけで当局から設立登記が認められたのは2万7000社にのぼった。

2016~2020年の期間中、ハノイ市の地域内総生産(GRDP)の30%は、地元に本拠地を置く中小企業によってもたらされたものだった。また、市の社会投資資本の25%も、中小企業が占めていた。さらに、中小企業によって創出された新たな雇用も、14万人に及んだ。