観光地のブランド価値アップを チャンアンの景観関連遺産

ニンビン省のチャンアンの景観関連遺産は、ほんの数年前まで、観光名所としての知名度が低く、訪れる人も少なかった。それが2014年に世界遺産登録されてから、世界的に知られるスポットとなった。

カルストで形成された地形に水田が広がるチャンアンは、古都ホアルーや、手こぎ舟で洞窟めぐりなどができるタムコック=ビックドンなど、多様な歴史、文化的景観を有する複合遺産として世界遺産登録されている。

18年には、米国のインターネットメディア、インサイダーの「訪れるべき世界の観光地ベスト50」にランクイン。15年から20年にかけて、観光客は年11.4%増加、 観光収入は22%増加した。

17年、ニンビン省には750万人の観光客が訪れ、3兆6000億ドン(約160億円)の観光収入を記録した。観光インフラの整備も進め、2019年末時点の宿泊施設数は15年の1.6倍以上の653カ所、計7935室の提供が可能となっている。

ただ、観光・ブランド価値の試算によると、築131年で6000億㌦(約63兆円)のエッフェル塔や、築1000年以上で950億㌦(約9兆9700億円)のロンドン塔に対して、チャンアンはまだ整備20年ということもあってわずか20億㌦(約2100億円)に過ぎない。このブランド価値を次の10年間で100~150億㌦にするためには、国内外の人々にいかに地域の価値を売り込んでいくかということを研究していかなくてはならない。目標達成のためには、国内トップ10、東南アジアでトップ20の観光地にランクインされるように、インフラやサービスの整備、プロモーションに注力しなくてはならない。

観光業界の関係者は、地元の価値をより高めるために、デジタルプラットフォームを通じてバイディンやバンロン、タムチュクなどの隣接地域と連係した観光商品を売り出していく必要がある。また、ベトナム観光職業基準(Vietnam Tourism Occupational Standards)に沿って、観光業界における人材のプロ意識とサービス品質の向上をはかっていかなくてはならない。