ネット販売で人気呼ぶ トゥイウン村の水牛角細工

ハノイ市のトゥイウン村は、水牛の角で作るくしの産地として知られる。新型コロナウイルスの感染拡大以降、ネット通販にも力を入れており、そうした努力の結果、国内だけでなく海外での知名度もアップし、売り上げを伸ばしている。

写真㊤=鳥をモチーフにした精緻な彫刻が施された角細工のくし

トゥイウン村は、現在の首都ハノイのチュオンチン地区に位置し、古くから水牛や牛の角を加工した角細工を製造してきた。高品質なくし作りの製法は、親から子へと400年以上にわたって受け継がれてきた。元々、くしは角形をしていたがその後、改良が進む、みかんの房のような丸みを持つ現在の形になった。

天然素材ならではの優美さと、長く愛用でいる耐久性から、国内だけでなく日本や韓国をはじめとする海外のでも人気を呼び、村の貴重な収入源になってきた。若手の職人は、くし以外にもブレスレットやヘアピン、トレイ、額縁のほかアート作品なども作るようになった。

人気に火が付くきっかけとなったのがネット通販だ。新型コロナウイルスの流行を受けて昨年からは、一部の村の職人が、ネット通販に力を入れるようになった。くしをネット販売するために最初に設立された会社の一つ、ハノイ・プロダクション・アンド・トレーディングのブ・タン・リエム・ディレクターは、「Shopee(ショッピー)やTiki(チキ)、Lazada(ラザダ)といったメジャーなEコマースのサイトで扱うようになってから、国内外での知名度が一気にアップした」と打ち明ける。

ネット通販を始めるにあたっては、さまざまな困難もあった。そうした課題を一つ一つ乗り越え、知名度や信頼感アップのために広告やブランディングにも投資した。その結果、くしやはしなどの1日当たりの注文は50~60件に増加した。

ネット通販は、市場拡大とともに競争力アップや職人のモチベーション、ブランドの確立にもつながっている。また、村の発展とともに歴史や伝統的文化の保存という面でも期待されている。