産地と消費地結べ 多様なアプローチで南中部の特産品販促、ニントゥアン省

ベトナム南中部沿岸地方のニントゥアン省が、積極的に物産展や展示会を企画し、あの手この手で、同省で産出される独特の農産物などの売り出しを図っている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける需要を安定させて、商品の需要と供給を結び付けるのがねらい。さまざまな工夫で、省内だけでなくホーチミン市などの大消費地の市場に進出する足場を築いている。

◇あの手この手で需給の接点開拓
ニントゥアン省商工局のボー・ディン・ビン局長によると、同省はここ数年、生産地と消費地を結びつけるねらいで販売拠点を設けたほか、観光業と手を組んで省外から訪れた人々が生産農家や加工現場を訪れることのできるツアーを企画するなど、地元の農産物を発展させるためのさまざまな支援策を立ち上げてきた。特産品については生産や広告宣伝、加工などの側面からも支援するために、多様な促進策を実施してきた。

昨年、同省は特産品を紹介する物産展、「ニントゥアン春の祭典2020」を企画し、省内外から約70社の参加を集めた。また、消費地と生産地が連携できるようにと、ラムドン省、クアンビン省、ホーチミン市の3自治体と懇談会を実施。商品の需給関係を開拓するためにホーチミン市が企画した展示会では、複数のニントゥアン省の企業が、ホーチミン市の近代的なサプライチェーンに参入することができたという。

さらに、消費者に直接商品を手にとってもらう機会を提供しようと、ニントゥアン省商工局は昨年、ベトナム物産市を省内6カ所に開設。なかでも、ファン・ランタップ・チャム市のビンコム貿易センターに初めて設置された農産物市は、一村一品活動に参加している農作物を中心に、同省の生産者や加工業者などを支援するために企画されたもので、特に注目を集めた。これらの市は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を緩和し、不安定となった需要の喚起する策として行われた。これらで一定の評価を得られたことから、同省は今年さらに3件、今度はインターネット通販を活用した販路開拓プロジェクトを推し進めているという。

◇持続可能な消費システム確立を

産地と消費地を直接結び付けられたことは、地元特産品の需要拡大に大きく寄与した。ニントゥアン省の青果などは、ビッグC、コープマート、ビンマートといったベトナム国内大手スーパーマーケットチェーンへの参入を果たしただけでなく、各省や市の卸売市場や大都市圏のコンビニエンスストアなどへも販路を拡大した。このような販売網の拡大で生産者は手ごたえを感じ、ニントゥアン省産の農産物への消費者の信頼度は、大きく引き上げられた。

加えて、農業生産地を観光と結びつけた観光商品の開発や、観光客が持ち帰るみやげ物としての特産品需要に着目した効果も大きかった。省商工局は、ヴィンヒ観光地区、ニントゥアン夜市地区、ティエンタオ地区、ハング・ライ観光地区、ニントゥアン省科学技術局と、チャム遺跡である観光名所「ポー・クロン・ガライの塔」の近くの計6カ所に、省内の一村一品製品などを紹介する販売拠点を設けた。省の特産品や一村一品製品の販促プログラムはいまや、企業や流通業者、消費者の関係強化を促す重要な架け橋になっている。また、企業が自社製品を宣伝できるほか、顧客の志向を知ったり、競争力を向上させて市場の動向に沿った開発戦略を立てたりする、絶好の機会の提供ともなっている。

このように、需給の結びつきを強めることが有効だと生産者と販売業者の双方に向けて発信し続けるため、ニントゥアン商工局では今後も、国内市場向けに特産品を売り込むことに焦点を当てて、地域や省、各都市との協力プログラムを展開して、ブランド農産物PRや企業支援を継続する考えだ。また、多様な新たな流通手法の導入にも挑戦し、ベトナム製品購入キャンペーンに関連づけて顧客開拓も進めたい考えだ。さらに、企業が市場の需要に対応するために、最新の技術と高度な機器の導入を促し、それによって持続可能な需給関係強化を支援していくとしている。