ハノイ市、公共投資の実施を加速へ 年度目標の100%達成目指す

ハノイ市人民委員会はこのほど、ハノイ市が、今年予定の公共投資の97~100%の実施を目指すとの方針を発表した。今年8月までに、同市が行った公共投資は26兆6000億ドンで、昨年同期比2.8%増。年間目標の40兆6700億ドンの58.6%が達成された計算だ。市当局では関係各所に、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を払拭し、目標達成に向けて動くよう要請した。

◇計画の遂行を促進
同市人民委員会によると、公共投資の支払いと公共プロジェクトの実施の遅れは、新型コロナの感染拡大が主な原因で、その他、必要な法的文書の不備、土地の整地に時間がかかっていることやスタッフの技能の不足なども一因だという。

公共投資の実施を加速させるために、ハノイ市は投資人民委員会が承認した中期の公共投資計画リストにあるプロジェクトを早急に実行に移すよう、投資企業などに指示していく。さらに、支払いの実績が少ないプロジェクトや進展に遅れのある計画に対する監視監督も強めていく方針だ。

一方で、関連省庁や当局に対しては、建設投資と用地の整備、取得などに必要な補償に関して、「行政改革を引き続き検討し、実行していく必要がある」とした。

市では、予算支出の見直しや評価を行い、個々の計画における課題を調査するための特別作業部会を結成。また、同市人民委員会は、中央省庁や関係する役所の関係者、市や郊外地域の人民委員会の代表者、投資企業などと会合を重ね、課題克服の支援を尽くしている。

◇計画的な融資も
ハノイ市人民委員会のグエン・バン・スー副委員長は、ハノイ市が、それぞれの計画の実施の詳細を観察し、遅滞している計画があれば迅速に改善を促すと話した。また、市は、各プロジェクトの抱える問題の具体的な解決策を指示し、計画の実現に向けて尽くすことで、「今年から来年1月に向けての公共投資の97~100%の実施という目標を達成したい」と意欲を見せた。

公共投資の実施を加速させるため、ハノイ市は政令84 / NQ-CP号を実施するための行動計画を立てた、ハノイ市独自の財政施策や予算の実行などの実験的実施を遂行するために、今年6月19日付けで発効した115/2020 / QH14号決議を実行に移していく。プロジェクトの進捗を確保するために、改正建設法62/2020 / QH14の実施にも率先して取り組む。

公共投資の実施について、スー副委員長は先日、グエン・スアン・フック国家主席とオンラインで会談。ハノイ市で実施されている何件かの政府開発援助(ODA)プロジェクトが課題に直面していることから、政府と関係当局による支援を求め、政府と計画投資省が今年1年間だけでなく、2025年までの期間に実施される予定の公共投資を対象に、実施に向けたガイドラインを迅速に採択することを提案した。

これに対し、具体的な対策としては、ニョン駅とハノイ駅を結ぶハノイ市都市鉄道(メトロ)3号線区間の建設プロジェクトに対し、2000万ユーロの借り入れが行われる予定だという。さらに、ハノイ市エンサ下水道整備事業ついては、日本の 国際協力機構(JICA)との間で融資が承認される見通しだ。

グエン・スアン・フック国家主席は、オンライン会談で、プロジェクトの現場を個人的に訪問し、課題解決に向けた作業部会を結成したハノイ市共産党委員会のブオン・ディン・フエ書記を称賛。ハノイ市人民委員会のグエン・ティ・ビック・ゴック会長は、2016~2020年までのハノイ市の公共投資の実績について、「ハノイ市公共投資は、国の公共投資全体の10%を占め、国の発展にとっても非常に有用だった」と述べ、今後も、公共投資が経済成長の回復を後押しし、企業を支援や雇用創出に役立つとの考えを示した。