ハノイ市、感染制御のため地区や職種で分類 PCR検査加速へ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ハノイ市は、感染制御のための社会的距離を取る対策とワクチンの集団接種と並行して、より厳格な隔離や、移動制限などの実施に踏み切った。6日、感染数や感染リスクなどによって市内を3ゾーンに分類したほか、職種によっても、感染リスクの高い順から赤、オレンジ、緑の3グループに分類。高リスク者へのPCR検査の実施を加速する。

ハノイ市は、コロナ対策のために、市内を3ゾーンに分類。対策の実施期間はひとまず、今月21日までとした。

第1ゾーンは感染が多い人口密集地域。ハノイ市タイホー区など10の区と郊外の郡を含み、ここでは実質的な外出自粛を継続させる。第2ゾーン(ロンビエン区など)では、安全に経済を回しながら、強い感染対策措置を実施。第3ゾーンは比較的安全な地区とされた。また、1や2のゾーン内であっても、感染例がない住宅や区画などは「グリーン・ゾーン」として、内部に感染を持ち込まないために、非居住者の立ち入りを制限するなどした。

◇PCR検査を加速
7月半ば以降8月9日までに、ハノイ市の郊外部では、9634人の新型コロナウイルス感染が確認された。このうち、トーアム(タインチー郡)やホアボイ(クオックオアイ郡)、フン市場(タックタット郡)などでのクラスター発生を含め、1369人が居住する地区や生活圏での感染だった。

一方、ハノイ市内では、新型コロナ感染第4波で、4月27日から8月9日までに1792人の感染を数えた。このうち1075人が居住地や生活圏で感染。717人は隔離地区や外出禁止エリア内での感染だった。感染は医療機関や製造拠点、企業のオフィス内、卸売や小売の市場などで広がりを見せ、当局は、追加の対策措置なしには、感染がさらに拡大すると判断した。

新型コロナウイルスの制御におけるPCR検査の重要性を鑑み、ハノイ保健局は8月10~17日にかけて、感染の増えている区の住民や感染リスクの高い人のPCR検査を実施した。対象としたのは、貨物輸送業者、市場で働く労働者やパーマーケット従業員ら、公衆衛生事業の従事者、タクシー運転手や工業団地で働く労働者ら。

ハノイ市の共産党委員会は、関係当局に対して、緊急措置としてPCR検査数を1日あたり20万回以上に増やし、できるだけ速やかに検査結果を出すよう指示。ハノイ市保健局は、感染患者を発見し、感染爆発を抑制し、新型コロナ患者と健康な地域住民とを速やかに隔離することで、少しずつ感染を抑制していくことを目指して活動を活発化しており、警察や軍、民間医療施設に対して、医療関係者の供出を求め、スピード感をもって、正確に、効率よく、安全に検査を実施していく考えを占めした。

◇地区、職種などでも分類
ハノイ市では、8月9~17日にかけて、新型コロナのPCR検査を過去最大規模となる、計130万人に実施した。特に感染リスクの高い人を優先的に検査するために、ハノイ市では感染のリスクによって住民を赤、オレンジ、緑にグループ分けした。

PCR検査を最優先で実施する赤グループは、感染が急増している区や郊外の村の住民。また、居住区にかかわらず、仕事上で移動や人との接触を余儀なくされる職種が対象とされた。

オレンジ・グループは、工場や生産設備で働く労働者、企業の社員、伝統的な市場の商人、スーパーマーケットの従業員、医療従事者のほか、国の新型コロナウイルス感染予防管理運営委員会の規定により高リスクと指定された地区に行く必要のある人々が含まれる。

新型コロナの発生が報告されていないハノイ市内の「グリーン・ゾーン」の居住者で地区外への移動が必要のない人のほか、感染が見られる地域の居住者であっても、外出や外部の人との接触がない人は、緑グループに分類された。

これらのいずれのグループであっても、行政当局に提出する医療報告で、咳や発熱などの症状が見られた人への検査も、並行して、従来どおり継続する。

赤グループや高リスク地区の居住者、高リスク地区に住む緑グループの人に行うPCR検査以外にも、市当局は、保健局のガイドラインに従い、必要に応じて簡易検査も行っている。ハノイ市保健局が、リスク評価や将来的な検査計画を策定するためのデータ収集が目的で、市内で、約200万件が実施される予定。

目標達成のために、ハノイ市人民委員会のチュー・ゴック・アイン委員長は、市の保健局に新型コロナのPCR検査実施の全権を委託。一方で、ハノイ市感染制御センターには、疫病感染の調査やリスクの高い地区の早期発見や、必要な検査数の割り出しなどの検査計画を任せ、役割を分担させた。

ハノイ市の各区や郊外部の各郡は、検査実施にあたって対象者リストの策定にあたるほか、地域の当局の人員を供出して検査実施のスムーズな実施や検査会場内での感染クラスターの発生予防などに当たっている。

ハノイ市保健局のチャン・チー・ニー・ハー局長は、首都の保健衛生当局は、計画をできるだけ速やかに実行にうつし、感染者の発見をスピードアップさせ、感染拡大を押さえ込みたい考えだ。

「検査の陽性者の行動や接触者を把握するとともに、感染者を確実に隔離し、必要に応じて地区封鎖や外出自粛を求めていく。それによって、赤ゾーンを狭めて、グリーン・ゾーンを守り、政府の指示や党、ハノイ市人民委員会などの指示に従って、市内の感染拡大を徐々に抑制、管理していく考えだ」と話す。