行政サービスの質を客観的に評価する「行政サービス満足度指数(SIPAS)」で、ベトナムの首都、ハノイ市は昨年、85.15%だった。これは全国63の省と直轄都市のなかで33位。市民らが必ずしも同市の行政に満足していないことが浮き彫りになり、同市人民委員会は、一カ所で全サービスが受けられるワンストップ化の実現など、行政サービスの改善に乗り出した。

この結果は、内務省が行った調査で明らかになった。これによると、ハノイ市の行政サービスの評価は、2019年と比べると順位を19位上げるなど大きく改善したものの、「公共サービスへのアクセスのしやすさ」や「手続きの進捗状況」など、一部の項目においては、国の平均を下回り、評価が低かった。

昨年、ハノイ市の行政当局は行政サービス満足度指数の改善強化に乗り出したが、一部の行政機関は、割り当てられた仕事を期間内に達成できなかったのに加えて、多くの事例で、一カ所で手続きが完了する利便性の高い「ワンストップサービス」が実現できなかった。既存の規制のために、行政手続きの手法が公開されなかったケースもあり、個人や企業、組織などが行政サービスを受けやすい仕組みづくりが不十分である現状が鮮明になった。

土地管理や建設分野の行政手続きのなかには、手続きが煩雑で時間がかかるものが多く残っており、それが個人や企業にとっての金銭的負担の増大といった不利益にもつながっていたという。

◇ワンストップメカニズムの実現を
ハノイ市社会経済開発研究所のボー・ハイ・ロン副所長は、個人や企業組織などが公共サービスを受けて、今よりも高い満足感を得られるようにするためには、「ハノイ市が個々の行政担当者らに責任感をもたせ、手続きの管理手法を透明化することが必要だ」と指摘した。

また、「ハノイ市がより多くのサービスをオンラインで提供するようにすべき」、というのがロン副所長の主張で、同時に、公共サービスのオンライン利用を市民らに促すような情報発信の強化が必要だとも指摘した。また、市民からのクレームや批判の対応には、内容から市民らの意向や考えを適切にくみ取れるような能力の高い人材を担当者として当たらせるべきだとアドバイスした。

ハノイ市人民委員会のチュー・ゴック・アイン議長は、市の各部局や部門、各地方自治体の人民委員会などに対して、これらの欠点を克服するための解決策を提案。今年度から始まり2026年までを対象としたハノイ市の行政サービス満足度指数強化計画に基づいて、それぞれの持ち場で任務を遂行するよう求めた。

ハノイ市人民委員会はこのほど、政令3829/QD-UBNDを発効。今年から2025年までの5年間ので、ハノイ市の地方行政統治と、「行政パフォーマンス指数(PAPI)」や「行政サービス満足度指数(SIPAS)」の改善に尽力するワーキンググループ(WG)の設立を決定した。同グループは市の諮問機関として、関係部局と連携し、ハノイ市人民委員会に対して、2種の指数の改善に向けた積極的な提案などを行っていくという。このような努力により、首都ハノイ市の行政サービスは今後短時間で際立って向上するとみられ、将来的には他の行政地区の追随にもつながると期待されている。