ハノイ市、コロナ禍からの回復期に突入 目標は7%の域内総生産の成長

首都ハノイをはじめベトナム各地で、新型コロナウイルスの感染拡大第4波が抑制され、ハノイも新たな回復と発展の時期に突入した。同市はこのほど、「2021~2025にかけての社会経済発展と公共投資に関する政令05-NQ/TU号」を発令。域内総生産(GRDP)の前年度比約7%増加を目指し、本格的は回復を目指していくという。

現在の首都ハノイがベトナムの経済の中心地となったのは、抗米戦争(ベトナム戦争)が契機で、1975年春の勝利以降、ハノイは経済、文化、社会の発展をけん引している。2008年には、隣接するビンフック省のハ・タイ地区とメリン地区、ホアビン省のルオンソン地区の4つの村も「ハノイ市郊外」に組み込まれた。2015年のハノイ市の人口はベトナムの全人口の1%に過ぎなかったのが、2020年には8.1%にまで増えた。域内総生産はこの時期、年平均7.23%増の成長を見せ、2015年に16.46%増だったものが2020年には19.05%増になった。

ハノイの経済成長は目覚ましく、国の発展にも大きく貢献したが、このたびの新型コロナウイルスの感染拡大が、首都の経済にも大きな打撃を与え成長を鈍化させた。特に今年に入ってからの変異ウイルス、デルタ株の出現は、課題を山積させた。昨年の第3四半期の域内総生産は、前年同期比7.02%も減少。今年1~9月の9カ月間の成長も、前年同期比1.28%増にとどまった。もっとも影響を受けたのが交通、貿易、ホテルやサービス業、観光の分野だ。公共投資の実施率も過去数年間の中で最低となった。

この状況の中でも、困難を乗り越え、生産を維持しようとの努力のおかげで、ハノイ市もようやく今後に期待の持てる数字を残せるまでに回復した。9カ月間の市の税収は176兆7370億ドンで、前年同期比5.4%増となった。これで、政府の当初の目標の75%、ハノイ市の目標の70.3%を達成できたという。9月の海外貿易総額は前月比1.5%増、前年同月比2.8%増と回復を見せ、1カ月の貿易総額も13億ドルの目前にまで迫った。

1~9月の農林水産業生産は前年同期比3%増え、サービス業も0.85%増とわずかながら改善した。消費者物価指数は制御され、9カ月間での増加は1.54%にとどまった。

ここに来て、新型コロナ第4派の感染拡大も、ハノイをはじめ全国の省や市で抑制されたことから、首都ハノイもようやく、新たな経済回復と発展の時期に入ったようだ。ハノイ市が発令した「2021~2025にかけての社会経済発展と公共投資に関する政令05-NQ/TU号」では、域内総生産で前年度比を約7.5%増と、6.5~7%の増加という2種類のシナリオを作成し、経済の7%成長の実現に向けて動き出した。

ハノイ市人民委員会のチュー・ゴック・アイン委員長は、この政令で定めた第4四半期目標の達成を目指し、感染抑制に向けて抜本的な対策実施を継続し、社会経済の発展を回復させるよう、関係する省庁や市当局などに通達した。第4四半期、そして通年の目標値達成にはかなりの努力が必要だが、アイン委員長は「この努力が2022年の成長、さらにはその後の年月の成長にとっても、基盤になるはずだ」と訴えた。

ハノイ市は、2025年までに工業化された近代都市になることを目標の一つに掲げている。また、北部主要経済圏の、さらにはベトナム全国の経済の社会経済発展の推進力になることを目指している。